2019 Fiscal Year Annual Research Report
Neural circuit development regulated by doublecortin-like kinases
Project/Area Number |
17K07044
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
古泉 博之 奥羽大学, 薬学部, 准教授 (10334335)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経回路形成 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
MAP7D1の315番目セリンのアラニン変異体(DCLK1によりリン酸化されない変異体)の過剰発現による大脳皮質神経細胞の軸索伸長阻害は、キネシンモータータンパク質KIF5との結合部位欠損により、その阻害効果がなくなった。リン酸化はMAP7D1とKIF5との結合には影響は与えなかったが、MAP7D1のDCLK1によるリン酸化は、KIF5の機能を調節し、軸索伸長を促進している可能性が示唆された。 DCLK1には、N末端の微小管結合領域とC末端のキナーゼ領域両方を有するDCLK1-Lと、キナーゼ領域のみを持つDCLK1-Sの2つのキナーゼバリアントが存在する。今回、スパイン形態制御において機能する新規基質を探すための新たなツールとして、生後脳にて発現が上昇し、神経可塑性に関与するとされる、DCLK1-S特異的欠損マウスを作製した。このマウスはこれまでに用いているDCLK1-L欠損マウスと共に、今後のリン酸化タンパク質解析に非常に有用なものとなる。 Dclk1/2ダブル欠損マウスは、前頭前皮質におけるドーパミン神経細胞の前頭前皮質への投射の減少が示唆された。モノアミンおよびその代謝物の脳各部位における量を測定したところ、線条体(吻側)におけるドーパミン量の増加や、前頭前皮質におけるドーパミンのturnoverの増加、また前頭前皮質におけるセロトニン量の減少が明らかになった。前頭前皮質で見られたドーパミン神経線維の減少とは一見異なり、前頭皮質においてドーパミン神経機能はむしろ亢進していることが示唆された。さらに、ダブル欠損マウスにおいてドーパミン神経系だけでなく、セロトニン神経系の異常が示唆され、このマウスにおいて見られる衝動性亢進の神経基盤を考える上で重要な知見が得られた。本研究で得られた知見は、発達障害関連因子DCLK1/2の高次機能や病態への関与を理解するのに重要である。
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