2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of roes of G-protein coupled receptor signaling in neurodevelopment
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17K07045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
眞田 佳門 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50431896)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大脳新皮質 / 神経前駆細胞 / セロトニン |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳新皮質の形成過程において、神経前駆細胞は脳室を取り囲む領域(脳室帯)に限局して存在する。大脳新皮質形成の初期段階では、神経前駆細胞は自己複製してその数を増やす。一方、発生が進むのに伴って神経前駆細胞は、神経細胞を生み出すようになる。このような神経前駆細胞の運命をコントロールする細胞外因子としては、母親由来の因子の寄与も推察される。しかしながら、脳発生に寄与する母親由来のシグナル分子の分子実体および作用機序に関する研究は充分とはいえない。本研究では、母親由来シグナルの候補分子としてセロトニンに着目した。私共はこれまで、複数種類のセロトニン受容体(G蛋白質共役受容体型)が神経前駆細胞に発現していること、さらに母マウスの血中セロトニン量を低下させると、胎仔の前脳セロトニン量が低下すると共に、前脳が小さくなることを見出した。また前脳の大脳新皮質において、神経前駆細胞数が顕著に減少していることが明らかになった。脳発生初期には神経前駆細胞が盛んに自己複製していることを考え合わせると、『母親由来セロトニンが神経前駆細胞のセロトニン受容体を介して自己複製を促進し、正常な脳形成に寄与している』可能性がある。本年度の解析により、さらに母マウスの血中セロトニン量を低下させると、大脳新皮質の神経前駆細胞の増殖が抑制されること、さらに生成した神経細胞数が低下していることが判明した。さらに、これら事象と呼応して、神経前駆細胞の細胞周期が長くなることがわかった。また、神経前駆細胞は分化し易くなっており、より多くの神経前駆細胞が神経分化し易くなっていることが判った。以上の結果、母親由来のセロトニンによって、神経前駆細胞は自己複製から神経分化モードへと変容し、その結果として神経前駆細胞プールの増大が抑制されて、最終的に産出される神経細胞数が減少すると推察できた。
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Research Products
(5 results)