2018 Fiscal Year Research-status Report
Simulation study on functional roles of morphological strucutre of neurons in cerebellar learning
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17K07049
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山崎 匡 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40392162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 潤 国立研究開発法人理化学研究所, 情報システム本部, 上級研究員 (60452827)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小脳 / 学習 / シミュレーション / マルチコンパートメントモデル / 細胞形状 / 計算論的神経科学 / 細胞形態 / 高性能神経計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、単一ニューロンの空間形状が時間情報処理に及ぼす影響について研究した。小脳プルキンエ細胞は巨大な樹状突起を持ち、その上に約20万個のシナプス結合を有している。Branco et al. (2010)は、皮質錐体細胞の樹状突起上に存在する複数のシナプスを順番に刺激すると、ある順番ではスパイクが発射されるが別の順番ではされない、という発見をした。彼らは樹状突起上のインピーダンスの勾配と、NMDAチャネルが重要であると示唆している。小脳プルキンエ細胞でも同様の現象が見られるかどうかを、プルキンエ細胞の数理モデルを用いて数値シミュレーションによって調べた結果、確かにシーケンスの弁別ができることが確認された。しかし、プルキンエ細胞にはNMDAチャネルは存在しないため、別のメカニズムが関与していると考えられる。一つの可能性はCa2+であり、現在その役割を調査中である。また、登上線維刺激によるシナプス可塑性を考慮し、シナプス結合の重みを変化させると、元々スパイクを発射しなかった順番で刺激するとスパイクを発射するようになり、逆に元々スパイクを発射していた順番ではスパイクは発射されなくなった。このことは、平行線維刺激におけるシーケンス弁別能力は、学習によって動的に獲得されうることを示唆する。本成果は、平成31年度に国際会議でポスター発表されることが決まっている。一方、数値シミュレーションの計算法として、イオンチャネルと膜電位の数値計算を安定させるためのstaggard time step法を導入した。これにより、膜電位の波形に見られた非常に小さな振動が消失することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞の空間形状が、単一ニューロンの情報処理に与える影響については順調に研究が進んでいるが、ネットワークのダイナミクスにおよぼす影響については、当初の想定よりは遅れている。遅れの要因の一つは、利用予定であったスパコンが諸事情によって撤去されてしまったことである。現在代替のスパコンを選定中であり、平成31年度は少し規模は小さくなるが、同様のスパコンが利用可能になる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画書通り、小脳微少複合体モデルの完成と大規模シミュレーション、学習における細胞の空間形状の役割について検討していく。
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Causes of Carryover |
翌年度の学会発表と論文執筆の英文校閲費に充当する計画である。
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Research Products
(1 results)