2017 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学的神経活動攪乱によるサル前頭葉-側頭葉間記憶ネットワークの解明
Project/Area Number |
17K07062
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
竹田 真己 順天堂大学, 医学部, 特任准教授 (00418659)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再認記憶 / 電気生理学 / 光遺伝学 / 霊長類 |
Outline of Annual Research Achievements |
記憶の情報処理メカニズムに関して、皮質層レベルの情報処理(メゾスコピック)から関連領野間の情報処理(マクロスコピック)まで複数の空間スケールにおける情報処理に注目して研究を進め、論文発表を行った。 近年急速に発展しつつある、光遺伝学による神経活動操作はげっ歯類を対象とした研究では頻繁に用いられている手法であるが、よりヒトに近いサルに応用した研究例はほとんどない。そこで、本研究では、この光遺伝学的手法をサルに応用し、再認記憶における側頭葉ニューロンの活動の因果的役割について調べた。サルに視覚性再認記憶課題を学習させたのちに、AAVウィルスベクターを用いてサルの側頭葉36野ニューロンにチャネルロドプシンを発現させた。次に、視覚性再認記憶課題遂行中に光照射をすることによって、36野ニューロンの活動を人為的に高める実験を行った。その結果、サルの再認判断は、以前見たことのある視覚刺激でも以前見たことのない視覚刺激でもいずれでも、見たことがあると判断するようにバイアスが生じた。この傾向は36野内のどの領域でも一貫して見られた。一方、従来より良く用いられている電気刺激による神経活動操作も行い、光遺伝学的手法による刺激の結果と比較したところ、36野の前部では似た結果が得られた一方、36野の後部では異なる結果となったことから、36野の前部と後部では異なる神経回路の動作により再認記憶に関与していることが示唆された(Tamura et al)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、これまでほとんど報告がない、サルを用いた光遺伝学的手法による認知機能解明に関する研究発表を行った(Tamura et al., 2017, Science)。また、サルにおける光遺伝学的手法の応用のための、基礎的研究として、光照射に対するオプシンの反応性の関連を脳内の距離を軸に調べる研究を進めており、予備的な結果については、学会で報告している(Setsuie et al, 2017)。このように、研究成果は対外発表という形で実を結んでおり、着実に進捗している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度より、大学を異動し、新たな研究体制を構築する予定である。研究に必要な実験器具等を含む研究環境もおおむね整備済であり、大幅なタイムラグなしに、引き続き研究を推進していく予定である。また、新環境では高磁場MRIを使用可能であり、当該研究計画におけるfMRIによる機能イメージングの比重を高めることを予定している。
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Causes of Carryover |
今年度は、Science誌に論文を一方発表し、また、進捗中の研究成果は一部学会発表を行ったように研究成果は順調に出ている。一方、今年度に所属研究機関の異動が決まったため、今年度に使用する金額が当初の予定より変更が生じた。次年度に新所属機関で研究を円滑にスタートさせるために、差し引き額を有効に使用する予定である。
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[Journal Article] Conversion of object identity to object-general semantic value in the primate temporal cortex.2017
Author(s)
Tamura, K., Takeda, M., Setsuie, R., Tsubota, T., Hirabayashi, T., Miyamoto, K., and Miyashita, Y.
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Journal Title
Science
Volume: 357
Pages: 687-692
DOI
Peer Reviewed
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