2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of novel patterns of neuronal development and migration using the midbrain as a model system
Project/Area Number |
17K07071
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
有村 奈利子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 病態生化学研究部, リサーチフェロー (20420375)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経細胞移動 / 中脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
中脳はドーパミンなどの重要な神経伝達物質を分泌して認知、情動、運動機能制御に関わる大変重要な領域である。また、脊椎動物の脳進化のごく初期に中脳は最も発達しており、緻密な神経回路を形成しうる分子的、形態的基盤を保存していると考えられる。しかしこの中脳の神経細胞の発生機構については不明な点が多い。多くの中枢神経細胞は、産生される場所と配置されて実際に機能する部位が異なるため、脳室面等で分化した後、細胞移動を行う。中脳神経細胞は、限られた脳室面から様々な種類の興奮性、抑制性細胞が「同時期に同領域で」産生され、同じ場所を移動するが、この分化移動の制御機構はほとんど不明である。また、中脳背側(上丘)の神経細胞を短期的にラベルすると、同時期同領域で分化した細胞が各層にバラバラに移動停止し大まかな層構造を形成する事から、中脳は、大脳小脳とは異なる未解明の層構造形成機構があると考えられる。従って、本研究の目的は、「多様に分化した神経細胞がいかにして個々の機能すべき場所に移動し、停止するか」を、進化の最初期に発達する中脳をモデル系として、現象論からその分子機構まで明らかにすることである。本実験課題の実績として、タイムラプス観察による中脳神経細胞の移動様式の解明に関する研究をまとめ、神経細胞移動の最初期に起きる、分化直後の脳室面における脱上皮化を制御する分子機構を、組織染色およびタイムラプス法を用いて解明した。これらの結果については論文としてまとめて公刊した。中脳神経細胞のタイムラプス観察については、従来モデルと大きく異なる移動様式を見出した。最終年度である本年度は更に、シングルセル解析を行い、中脳発生期中期における細胞の多様性について検討を行っている。現在これらの結果について解析を行っており、論文化を目指して解析を進める予定である。
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Research Products
(8 results)