2018 Fiscal Year Research-status Report
代謝型グルタミン酸受容体を介した射精調節メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K07075
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
時田 美和子 (馬杉美和子) 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (10420712)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | mGluR7 / 標的細胞特異的発現 / 脊髄切断 / 射精 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでの研究により、代謝型グルタミン酸受容体7型欠損マウス(mGluR7 KO)のオスが、メスマウスに対してマウンティングや挿入行動をするにもかかわらず射精にいたらないことを見いだした。本研究の目的は、mGluR7の射精調節に関与する回路を明らかにし、さらにmGluR7がどの様なメカニズムでその回路を調節しているのかを解明することである。 初年度には抗mGluR7抗体を用いた免疫標識により、腰・仙髄におけるmGluR7の局在を解析した。mGluR7はこれまで海馬などで標的細胞特異的発現が観察されていたが、副交感神経核の近傍に位置する一部の細胞に対してmGluR7を発現する軸索終末が集まる様子が観察された。また、副交感神経節前神経に対して入力しているシナプスにもmGluR7が発現していることを見いだした。
腰・仙髄に存在するmGluR7が直接射精を調節するかどうかを検証するために、胸髄レベルで脊髄を切断し、薬剤誘発性射精による射精の頻度および射出量を野生型マウスとmGluR7 KOで比較した。種々の射精を誘発できる可能性のある薬剤の投与実験を行った。α2アドレナリン作動薬であるクロニジンを脊髄切断マウスに投与したところ、mGluR7 KOの方が射精の頻度、射出量共に野生型マウスよりも多かった。つまり切断手術を行っていない動物ではmGluR7 KOでは射精ができなくなっていたのにもかかわらず、脊髄切断をすることでmGluR7をノックアウトすることの効果が逆転することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属機関の移動に伴い、動物を移動させた。マウスの移動にはいったん受精卵にしてクリーン化する必要があり、再び行動実験を行える数までマウスを繁殖させるのに時間がかかった。 また、脊髄切断マウスモデルにおける射精誘発実験を用いて、射精調節に関与しているmGluR7の発現部位が脊髄レベルであるか、脳であるかを見極めた上で研究を進める予定であった。しかしながら、脊髄切断によりmGluR7ノックアウトの効果が逆転するという結果は予想に反するものであったため、実験結果を慎重に検討する必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
mGluR7は中枢神経系の広い範囲に発現しているため、そのメカニズムの解明にはmGluR7が関与する射精調節領域が脳か脊髄かを明らかにする必要がある。精髄切断実験で予想外の結果を得たが、今後の方針を決める大切なポイントであるため、慎重に結果を検討する。
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Causes of Carryover |
進捗状況で記載したように、マウスの移動に伴い、計画通りの実験を行うには繁殖が間に合わず、当初の研究計画から変更の必要があった。さらに脊髄切断マウスを用いた実験も予想と異なる結果となり、検討に時間を要したため。
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