2017 Fiscal Year Research-status Report
樹状突起内の中心体機能の検証―微小管重合核形成とマイナス端アンカー
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17K07083
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
林 謙介 上智大学, 理工学部, 教授 (50218567)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニューロン / 微小管 / 中心体 / 樹状突起 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニューロンの樹状突起の微小管が、突起内で重合核形成される可能性を検討した。 まず、脳の発生過程におけるγ-tubulin環複合体 (γ-TuRC) 構成分子の遺伝子発現をRT-PCRで調べたところ、生後9週に至るまで発現は一定に保たれていた。次に、マウス大脳皮質の初代培養ニューロンを用いて、γ-TuRC 調節因子として知られるGCP-WDとHAUS8の発現を調べた。作製した抗体を用いWestern blottingを行うと、どちらも突起形成の盛んな3DIVでは発現が見られたが、7DIVではほとんど見られなくなっていた。中心体が微小管形成を行わないニューロンにおいてγ-TuRCの構成分子とその活性調節因子が発現していることは、中心体以外の場所で微小管重合核形成が行われている可能性を示唆する。 そこで、微小管重合核形成を可視化するため、初代培養ニューロンにおいて微小管を破壊したのちに再形成させる実験を行った。固定法を工夫することにより、細胞質全体で多数の微小な微小管が再形成されている様子が観察できた。このような微小管再形成は4DIVではよく見られたが、8DIVではほとんど見られなかった。再形成された微小管の先端にはγ-tubulinの染色が見られた。γ-TuRC構成分子であるMZT1の抗体を作製し、培養ニューロンの抽出物を用いて免疫沈降実験を行うと、γ-tubulinとMZT1は複合体を形成していた。従って、細胞質で再形成される微小管の先端にγ-TuRCが結合していることが示された。 以上のことから、突起伸長期のニューロンでは、細胞質においてγ-TuRCを起点とする多数の微小管形成が起きていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の根幹をなす仮説がおおむね立証できた。研究全体における第一関門を突破したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス大脳皮質の初代培養神経細胞で観察された再生微小管が、γTURCを起点としていることを確認するために、γTURCの構成分子であるγ-tubulin(isoform 1と2)、GCP2、GCP3をsiRNAにより二重三重にノックダウンし、微小管再形成が起きなくなることを示す。 次に、γTURC 調節因子であるGCP-WDとCDK5RAP2をノックダウンして微小管再形成実験をおこなう。主としてどちらの分子が樹状突起内の微小管形成に関わるのかを明らかにする。また、これらのノックダウンが実際に樹状突起の成長を阻害することを示すため、shRNA 発現ベクターを胎児大脳へインビボエレクトロポレーションによって導入する。 一方、2017年度において、初代培養ニューロンにおける微小管再生が、BCNF処理によって増強されるという予備実験データが得られた。2018年度は、その可能性を立証したい。
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Research Products
(10 results)