2018 Fiscal Year Research-status Report
樹状突起内の中心体機能の検証―微小管重合核形成とマイナス端アンカー
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17K07083
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
林 謙介 上智大学, 理工学部, 教授 (50218567)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニューロン / 微小管 / 中心体 / 樹状突起 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナイニンは中心体に微小管をアンカーさせるタンパクである。ニューロンではニューロン特異的ナイニンアイソフォーム(V6)が細胞質や樹状突起に存在していることを我々は報告してきた。今回はそのアイソフォームの機能を詳しく調べるため、神経株細胞であるNeuro2Aに発現させ、中心体と微小管の変化を調べた。 まず、それぞれのアイソフォームのcDNAを作成し、神経株細胞に発現させた。免疫染色により、発現させたナイニンの局在を調べた結果、多くのバリアントでは中心体に局在するのに対して、exon20が欠けているニューロンタイプのバリアント(V6)のみ中心体に局在せず、細胞質に散在していた。このことから、ナイニンのexon20が中心体の局在に必要であることが分かった。Zhangの既報では、ナイニンのexon32のみが中心体局在に必要であるというと報告されたが、我々の研究ではexon32を欠けたアイソフォームでも中心体局在が見られた。 更に、V6を過剰発現させることで、中心体が変化するのが観察された。中心体の変化は主にサテライトPCMの消失、PCMの委縮、消失がある。我々はこの変化を起こすナイニンの領域(496bp~2012bp)を特定した。この領域はダイニンの結合領域と一致している。よって、ナイニンはこの領域を含むことによって、ダイニンの働きを阻害していると考えられる。また、V6を過剰発現させると中心体がまだある細胞でもゴルジ体が散り、微小管が放射状から網目状になってしまうことが観察された。これによりサテライトPCMが消失し、中心体の変化が起こると考えられる。また、微小管は中心体ではないところで安定化されていることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状突起の微小管形成にかかわる分子のひとつであるナイニンの機能について、これまで予想されていなかった機能を示唆するデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
神経細胞においてナイニンが微小管の安定性を上昇させているのではないかというプレリミナリなデータに基づき、その仮説を証明する新しい実験を行う。 また、別のタンパク質(CDK5rap2)についても、機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
おおむね予定通りに使用したが、端数を次年度に繰り越す。
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Research Products
(2 results)