2020 Fiscal Year Research-status Report
樹状突起内の中心体機能の検証―微小管重合核形成とマイナス端アンカー
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17K07083
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
林 謙介 上智大学, 理工学部, 教授 (50218567)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経細胞 / 樹状突起 / 微小管 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナイニンは神経細胞では選択的スプライシングにより中心体結合能を失ったNin-neuronが細胞質に発現している。Nin-neuronがどのような機能を持っているかはわかっていない。我々は細胞質に存在するNin-neuronがダイニンアダプターとして機能する可能性を検証するために、非神経細胞にNin-neuronを強制発現し、同じくダイニン-ダイナクチン複合体を作るdynamitinを強制発現した際の現象と比較した。強制発現されたNin-neuronもdynamitinも細胞質に局在し、微小管の細胞内配置を変化させ、ゴルジ体の断片化を引き起こし、輸送小胞を細胞突起の先端に濃縮させた。これらの事からNin-neuronは細胞質においてダイニンと相互作用を持つことが明らかになった。ニューロンの細胞質においてダイニンアダプターとして機能していると考えられる。 微小管切断酵素カタニンの主要な活性サブユニットにはKATNA1と、これに極めて類似したKATNAL1というアイソフォームがある。本研究ではニューロンの分化過程におけるKATNAL1の発現について調べるとともに、2つのアイソフォームのユビキチン化について比較した。KATNAL1のKATNA1に対する発現比率はニューロンの分化に伴って上昇することが分かった。生後3週齢の大脳皮質ではニューロンの細胞体で強い発現が見られたKATNA1ではすでに知られているように強いユビキチン化が見られたが、KATNAL1ではほとんどユビキチン化されていなかった。我々は、細胞内で安定なKATNAL1がニューロンの細胞体において微小管を切断し、樹状突起の成長に必要な微小管のシードを供給する役割を果たしていると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状突起形成に必要な微小管の形成機構について、Nin-neuronの働きとKL1の働きが少しずつ解明されてきた。ただし、Nin-neuronの働きについてはまだ疑問が残されている。 2020年の新型コロナウイルスの感染拡大によって大学への入構が制限され、ほぼ半年間研究がストップせざるを得なかったことが一番大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
Nin-neuronの働きについて、神経特異的ナイニンアイソフォームと非特異的アイソフォームを識別できる抗体を作製し、両者の局在の違いを明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大による大学入構制限によって研究が遅れたため。
2021年度には遅れた研究を遂行するため、「次年度使用額」を物品費として使用する。
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Research Products
(3 results)