2017 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷に対する低出力体外衝撃波治療による神経栄養因子発現と二次損傷抑制
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17K07090
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 晴夫 東北大学, 大学病院, 助教 (40646808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 智彦 東北大学, 大学病院, 助教 (80781294)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 衝撃波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ラット脊髄損傷モデルに対する低出力体外衝撃波(以下ESWT) が、脊髄内の各種神経系細胞におけるBrain-derived neurotrophic factor(以下BDNF) の発現を促進し、その神経保護作用によって細胞死や神経軸索損傷、脱髄などの二次損傷を抑制するか否かを検討することである。更に本治療法による運動・知覚機能の改善を行動学的・電気生理学的に評価し、その治療効果を検証する。 本研究ではラットを用いて脊髄損傷モデルを作製し、ESWTを行ったSCI-SW 群とESWTをしないSCI 群を比較検討した。ESWT によるBDNF の発現の局在を知るために、BDNF と各種神経系細胞( Neuron, astrocyte,oligodendrocyte)のマーカーの二重染色を行った結果、これらの細胞からBDNFが発現していることが確認された。また、Western blot、ELISA 法で損傷脊髄内のBDNF の蛋白発現の変化を解析中である。Neurofilament染色ではSCI-SW群で損傷部の神経軸索が有意に多いことが分かった。体幹・後肢の運動障害をBBB score、Grid walk test で解析した結果、SCI-SW群で有意に運動機能が改善していることが分かった。さらに知覚障害をvon Frey test, Hargreaves test で評価したところ、SCI-SW群で有意に改善していた。脊髄の神経伝導障害をMoter Evoked Potentials(MEP)による電気生理学的解析で評価した結果、SCI-SW群で有意に伝導障害が改善していた。 以上の結果から、脊髄損傷に対するESWTによってBDNFの発現が促進され、運動・知覚機能の改善効果が得られることが示唆された。今後さらに研究計画を実行し成果を発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のごとく、これまでの研究で動物モデルの作製、衝撃波の照射を予定通り行うことができた。また組織学的解析・行動学的解析、電気生理学的解析なども概ね順調に行うことができた。 具体的には、脊髄損傷モデルを作製し、ESWTを行ったSCI-SW 群とESWTをしないSCI 群を比較検討した。BDNF と各種神経系細胞( Neuron, astrocyte,oligodendrocyte)のマーカーの二重染色を行った結果、これらの細胞からBDNFが発現していることが確認された。Neurofilament染色ではSCI-SW群で損傷部の神経軸索が有意に多いことが分かった。体幹・後肢の運動障害をBBB score、Grid walk test で解析した結果、SCI-SW群で有意に運動機能が改善していることが分かった。さらに知覚障害をvon Frey test, Hargreaves test で評価したところ、SCI-SW群で有意に改善していた。脊髄の神経伝導障害をMoter Evoked Potentials(MEP)による電気生理学的解析で評価した結果、SCI-SW群で有意に伝導障害が改善していた。 以上の進捗状況から、本研究は概ね順調に伸展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究計画のうち、Western blot、ELISA 法で損傷脊髄内のBDNF の蛋白発現の変化の解析を進める。さらに5HT-positive fiber 染色や神経トレーサーによる神経軸索の評価、トルイジンブルー染色による髄鞘の評価をする。また、これらの成果を、学会および論文として発表していく予定である。 また論文作成に際して、更に追加実験が必要になった場合は、必要に応じて実験を追加する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に行う予定の研究・解析に必要な試薬や消耗品が必要になる。また今後、研究成果を発表するための学会参加費・旅費、論文作成費などを含めた費用も必要になる見込み。そのため、翌年度分の請求と合わせた助成金の使用が必要になるものを考えられる。
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