2019 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental study on functional pathology of L-DOPA-induced dyskinesia in Parkinson's disease.
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17K07096
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
後藤 恵 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (50240916)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 線条体 / ジスキネジア / ドパミンシグナル / G-タンパク質 / グルタミン酸受容体 / 脳内インフュージョン |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病治療の第一選択肢はL-DOPA経口投与であるが、長期L-DOPA治療は高頻度にジスキネジア・ジストニアなどの多動症状(L-DOPA-induced dyskinesia/dystonia, LIDD)を惹起する。私たちの過去の研究から、LIDDの発現は線条体ドパミン受容体過剰刺激に連動するグルタミン酸シグナルの異常賦活に起因することが示唆されている。当該年度の研究では、6-hydroxydopamine (6-OHDA)を片側内側前脳束に注入することで片側パーキンソン病モデルマウスを作成し治療実験を行った。LIDの評価にはAIMs Score (Abnormal involuntary Movements Score)を用いた。また、パーキンソン症状の判定の際には、自発性回転運動、アポモルフィン誘発回転運動、後肢ステップ運動を指標とした。プログラム可能容量可変式脳内インフュージョンデバイスを用いて6-OHDA傷害側線条体にグルタミン酸NMDA受容体拮抗薬であるメマンチン(memantine)を長期持続投与したところ、”ON期”のLIDDと同時に”OFF期”のパーキンソン症状がメマンチン容量依存性改善された。これは、NMDA受容体拮抗薬の線条体内インフュージョンシステムをがパーキンソン病患者の新規治療法になることを示唆する重要な治験と考える。さらに、cAbl阻害薬イマチニブ(imatinib)を同上のシステムで線条体内投与を行ったところ、パーキンソン症状改善と同時に黒質ドパミン産生細胞の細胞死を抑制する効果(disease-modifying effect)がみられた。この知見はイマチニブの線条体内インフュージョンがパーキンソン病の病期進行を抑制する画期的な治療法になり得ることを示唆している。
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