2018 Fiscal Year Research-status Report
興奮性シナプス伝達を修飾するスパイン内小胞体制御機構の探索
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17K07108
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 奈津実 (石原奈津実) 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (60547561)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 学習 / 記憶 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pattern separationの中枢は計算論の立場から海馬歯状回であることが示唆されている。空間的なpattern separationタスクを用いて、学習後のラット海馬歯状回を破壊すると類似した空間の分離が難しくなり、海馬CA領域の破壊では分離が可能であったことから歯状回が空間弁別に重要な役割を果たすことが示された。ヒトの脳機能画像研究からも異なる刺激を分離する際に歯状回が活性化されることが示された。さらにLTP成立に関与するNMDA受容体の歯状回特異的欠損マウスの解析より、歯状回LTPは空間弁別に必要であり、空間認知・定位には必要でないことが示され、空間弁別の基盤となる分子メカニズムの解明が期待されている。重合性ヌクレオチド結合蛋白質ファミリーSEPT1-14から成るセプチン細胞骨格は細胞分裂蛋白質として発見された分子ではあるが、最終分化した神経系で最も高発現する。サブユニットの一部は脳特異的発現パターンを示すことから細胞分裂を超えたセプチン細胞骨格の生理機能解明に注目が集まっている。しかしながら、セプチン遺伝子破壊マウスの多くが胎生致死となるか軽微な異常しか示さないことも災いして、神経系におけるセプチン細胞骨格の機能解析は十分になされていない。我々は、セプチン細胞骨格欠損マウスが正常な空間定位能力を持つ一方で、異なる形状の空間の弁別記憶保持能力を欠くことを見出した。さらに、記憶保持の基盤となる分子・細胞レベルでの研究を進め、学習・記憶時にニューロン間(軸索と樹状突起間)の信号伝達が持続的に向上する長期増強(L-LTP)時に、セプチン細胞骨格は情報伝達の場である樹状突起瘤(スパイン)に、細胞小器官を挿入する役割を担うことを見出している。引き続き、特定のスパインにのみ小胞体が局在する機構を精査することで、空間弁別におけるセプチン細胞骨格の役割を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度、セプチン依存的な神経機能に関する成果を論文として報告しており、実験計画は滞りなく進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、引き続き表現型の分子・細胞レベルでの解析を進める。 われわれはセプチン欠損マウスの細胞レベルでの表現型を電子顕微鏡で精査し、セプチン欠損マウスではスパイン形態(シナプス密度、スパイン体積、PSD面積は 海馬全領域で正常であるものの、特定の部位のみで特定の細胞小器官を持つスパインが減少していることを見出している。さらに、この現象はLTP誘導に伴い生じる、という結果を得ている。これらの結果から「セプチンがスパイン内での刺激依存的細胞小器官ダイナミクス変化に必須である」と仮説を立てた。今年度はセプチン 欠損/欠乏と組み合わせることでLTP誘導に伴い生じるスパイン内への細胞小器官局在が、単一スパインにおける反応性の変化に与える影響を評価するため、カルシウムプローブ(GCAMP6)を用いて上述イメージング技術でカルシウムイメージングを行う。 さらに、スパイン内への細胞小器官局在に関わる分子の網羅的スクリーニングを実施し、空間弁別記憶保持における細胞骨格再編成とスパイン内への細胞小器官輸送機構の意義を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成29-30年度行動解析実験に使用するセプチン欠損マウスの繁殖において、想定以上に産仔数が少なく、当初計画より繁殖期間が延長しましたが、現在個体が順調に得られております。これらを用いて、行動解析を行うことで、セプチン欠損マウスの詳細な行動レベルでの表現型を精査する予定です。
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[Journal Article] UBL3 modification influences protein sorting to small extracellular vesicles.2018
Author(s)
Ageta H, Ageta-Ishihara N, Hitachi K, Karayel O, Onouchi T, Yamaguchi H, Kahyo T, Hatanaka K, Ikegami K, Yoshioka Y, Nakamura K, Kosaka N, Nakatani M, Uezumi A, Ide T, Tsutsumi Y, Sugimura H, Kinoshita M, Ochiya T, Mann M, Setou M, Tsuchida K.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 9
Pages: 3936
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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