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2018 Fiscal Year Research-status Report

ヒト型染色体改変マウスの薬理遺伝学的解析

Research Project

Project/Area Number 17K07119
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

野村 淳  国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (70406528)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords発達障害 / 自閉症 / 染色体工学 / モデルマウス / スパイン / てんかん / GABA
Outline of Annual Research Achievements

本研究は,ヒト発達障害患者で認められる染色体異常を反映したヒト型精神疾患モデルマウスの作製,さらに薬理学的解析をコアとした包括的解析を目的としている.
本年度は主に,ヒト自閉症患者で認められた染色体異常を反映したモデルマウス(15q13ヘテロ欠失)の神経細胞スパインレベルの解析,そしててんかん発作に関する解析を実施した.
自閉症を含む精神疾患では神経系,特にシナプスにリスク遺伝子が集積している.このため,患者死後脳サンプル,疾患モデルマウスにおいて神経細胞シナプスを形成するスパイン(棘突起)の数,形態に異常が認められるケースが多い.実際,15q13領域に含まれるOtud7a遺伝子を欠失したノックアウトマウスではスパイン数の減少,形態の異常が認められている(Yin et al., Am.J.Hum.Gen., 2018).そこで本研究では,前頭前皮質(PFC), 一次体性感覚野(S1)におけるスパイン数・スパイン形態を脳スライスを用いたゴルジ染色により解析した.この結果,PFC, S1ともに神経細胞スパイン数の顕著な変化は認められなかった.また,スパイン形態においてもスパイン数同様,顕著な変化は認められなかった.
一方,てんかん発作誘導実験では,ガス状にGABAa受容体アンタゴニストをマウスに暴露する薬理学的アプローチを引き続き適用した.本手法は,前年度に実験系を確立している.本システムを用いた実験の結果,ミオクロニー発作(myoclonic jerks)数,ミオクロニー発作までの時間(latency),全身の発作(generalized epileptic seizure)までの時間に野生型と15q13ヘテロ欠失マウス間で顕著な差は認められなかった.一方,本期間中に樹立した15q13ノックアウトマウスでは野生型に比べ,ミオクロニー発作数の顕著な増加が認められた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度確立した薬理学的手法によるてんかん発作誘導実験により,安定した実験が可能となり,最終的に野生型および15q13ヘテロ欠失マウスからそれぞれ結果を得ることが出来た.また,脳スライスを用いた神経棘突起(スパイン)のゴルジ染色では実験系の確立にかなりの時間を要した.当初,解析領域として予定していた海馬歯状回ではクリアな像が得られなかったものの,最終的に前頭前皮質(PFC), 一次体性感覚野(S1)で結果を得ることが出来た.
一方,当初,染色体改変マウスの表現型レスキュー実験として,化学遺伝学的手法であるDREADD(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs)を適用し,特定脳部位に存在する神経細胞の活性を制御する事を考慮に入れていたが,現在まで染色体改変マウスの脆弱脳部位同定に至っていないため,向精神薬による表現型のレスキュー実験にシフトした.

Strategy for Future Research Activity

新規に作製した精神疾患モデルマウスのヒト疾患モデルとしての妥当性の評価を行う.特に本染色体改変マウスは自閉症を含むヒト精神疾患患者で報告された変異であり,"Construct validity(構造的妥当性)"は満たしている.さらに,本研究期間に実施した行動バッテリー試験から自閉症様行動,特に社会性の喪失も認めている事から,"Face validity(表現的妥当性)"も満たしているといえる.一方,薬剤(治療薬)の効果がヒト同様,モデル動物でも効果的かを検証する"Predictive validity(予測妥当性)"は,未検証である.今回対象とする15q13染色体領域は,a7ニコチン受容体遺伝子(CHRNA7)を含んでいる事から,薬理学的なリガンドを用いる事で予測妥当性の検証が可能である.
現在,a7ニコチン受容体遺伝子(CHRNA7)のリガンドが複数存在しており,中でも受容体のアロステリック調節因子として機能するガランタミンはアルツハイマーの認知障害に対する薬として認知されている.既に基礎実験は開始しており,特に行動異常に対する評価を基準に薬剤の効果を解析する予定である.

  • Research Products

    (2 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] Characterizing vulnerable brain areas and circuits in mouse models of autism: Towards understanding pathogenesis and new therapeutic approaches.2018

    • Author(s)
      Hui K, Katayama Y, Nakayama KI, Nomura J, Sakurai T.
    • Journal Title

      Neurosci. Biobehav. Rev.

      Volume: 印刷中 Pages: 印刷中

    • DOI

      10.1016/j.neubiorev.2018.08.001.

    • Peer Reviewed
  • [Book] 自閉症学2019

    • Author(s)
      野村淳,内匠透
    • Total Pages
      234
    • Publisher
      医歯薬出版株式会社

URL: 

Published: 2019-12-27  

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