2017 Fiscal Year Research-status Report
Significance of sugarchan recognition by Galectin-9 in neutrophil differentiation
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17K07141
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
有川 智博 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (70452670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 ひろみ 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (50294666)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Galectin-9 / 好中球 / 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで活性化T細胞のO-glycan糖タンパク質(Tim-3)を標的にGalectin-9 (Gal-9)が結合すること、さらにマウスリウマチ関節炎モデルにおいて、Gal-9-Tim3シグナルがT細胞に対して負に働き、病態を軽減することを明らかにした。一方で、好中球による炎症が主体であり、その発症にT細胞があまり関与しないとされる抗コラーゲン抗体誘導関節炎においても、Gal-9欠損マウスでは病態が増悪化し、骨破壊の進行、さらに好中球活性化マーカーであるMPOが炎症局所で高検出されることがわかっていたが、上記のT細胞を介した炎症抑制の概念では、このGal-9欠損マウスと野生型マウスの病態の違いについて説明できない。そこで、Gal-9欠損マウス及び野生型C57Bl6Jマウスの骨髄細胞を回収し、フローサイトメトリーにより解析したところ、Gal-9欠損マウスでは顆粒球や単球の前駆細胞であるGranulocyte-Macrophage Progenitors (GMPs, c-kit+, Sca-1-, CD16/32hi, CD34hi細胞)の比率増加が確認された。FITC標識ZymosanをGal-9欠損マウスの腹腔に投与したところ、Gal-9欠損マウスではZymosan粒子をより多く貪食したCD11b/Ly-6G二重陽性細胞、すなわち好中球数が野生型マウスよりも増加していた。以上の結果は、造血幹細胞においてもGal-9が好中球の分化に関与している可能性を示唆するものである。III型アレルギーを主体とした抗コラーゲン抗体関節炎において、野生型マウスよりもGal-9欠損マウスでより重症化したことを合わせて考えると、骨髄幹細胞の分化過程においてGal-9が好中球分化を負に制御するという我々の仮説を支持するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通り、研究初年度(2017年度)に、ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を用いた好中球分化実験にも着手でき、概ね仮説に沿った結果が得られている。この系を基盤として、さらに詳細な分子メカニズムの解析を予定している。次年度(2018年度)から最終年度(2019年度)にかけては、骨髄移植実験を予定しており、マウス、ヒトでの普遍的なGal-9機能の詳細な分子標的の探索を行う予定である。 また、本研究初年度の結果から、血小板の凝固作用にもGal-9が関与している可能性も示唆され、学会発表も行った。本研究から派生した当該研究にも一部注力し、今後の研究シードとしての基盤研究も適宜追加する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞内外、いずれの糖鎖認識が重要であるかを確認するため、2017年度に構築したヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を用いた好中球分化実験を用いて、リコンビナントGal-9、ならびにGal-9を機能的に阻害しうるラクトースの添加実験を実施する予定である。もしGal-9の好中球阻害作用が細胞外からのものであれば、当分化培養系にラクトースを添加することで好中球分化抑制作用が回避されると予想できる。Gal-9は受容体などの膜タンパクの糖鎖に結合してシグナル作用を修飾することが知られており、好中球の分化阻害においても、分化に関わる受容体に阻害的に作用している可能性が高い。2018年度では一連の研究を通して、分子標的となる糖タンパクの同定を目指し、SCF、Flt-3、G-CSF、GM-CSF、IL-3などの分化に関わるサイトカイン受容体等を主な候補として、免疫沈降法(IP)によりGal-9との結合親和性を確認する。結合親和性の確認された膜タンパク質に関し、免疫組織化学による局在の確認や標的シグナルのノックダウン系(shRNA、CRISPER/Cas9システム)を用いてさらに解析を行う。また、好中球の機能的な修飾を担う可能性を考慮し、TLR2やDectin-1についても同様の実験を予定している。
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Causes of Carryover |
旅費として計上していた学会参加について、学内予算を使用したため。
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