2018 Fiscal Year Research-status Report
Normal and tumor suppressive function of p53 family genes and their therapeutic application
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17K07152
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井川 俊太郎 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (50241576)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 乳がん / エストロゲン受容体 / がん抑制遺伝子 / miRNA / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1)p53ファミリー遺伝子の幹細胞の維持、分化機構、2)癌細胞の発生時の癌抑制遺伝子としての機能、3)幹細胞制御と癌抑制の統合制御メカニズム、4)生殖細胞保護機構の解明、および5)ファミリー遺伝子を利用した癌抑制、癌治療への応用を目指している。本年度は、以下の二点で特に進展が見られた。 1)種々の乳癌細胞でp63の発現を検討したところTAp63/DeltaNp63とも発現していた。これらの細胞で、p63の強制発現実験を行ったところ、エストロゲン受容体(ER)を発現するMCF7細胞のみにおいて、増殖を抑制することが判明した。この抑制には、mir-205を介したBRCA1の抑制によるという重要な知見も得ている。さらに、luminalA/Bタイプの乳癌においてp63の発現量が高いと予後が良いことを見出した。このことは、p63がERを制御していることに起因している。このメカニズムとして、p63がmiRNAXを誘導し、そのmiRNAXがERの発現を抑制するすることを見出した。乳癌は、一見治癒したように見えても、5年以上経過してから再発転移することが知られており、そのメカニズムの解明は乳癌の治療法の改善にも寄与することが、期待されこのメカニズムを解明し、論文にまとめていく。 2)始源生殖細胞は、放射線、抗癌剤に対する感受性が体細胞に比して、異常に高いこと、これが、通常のアポトーシス誘導性遺伝子の転写誘導によるものでなく、アポトーシスを阻害している広範にわたるmiRNAの低下によるという新規現象を見出しており、このことは、放射線被ばくを受けたり、放射線治療を受ける女性、男性の生殖細胞の保持に指針を与えることが期待され、今後、さらに研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フリーザーの故障で、細胞が損害を受けたこと、P53ファミリー以外の、神経系研究及び論文の執筆に時間を割いたこと、大学の雑用が多かったことから若干の遅れが生じている。現在は、p53ファミリーの研究に時間を投入できているので、当初の予定通り、研究を推進する。
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Strategy for Future Research Activity |
乳がんについては、乳癌切除後、長期間潜伏した(dormant)後に再発するメカニズムは長年にわたってなぞであった。本研究からΔNp63α発現が、luminal typeの乳癌において、quiescenceを誘導し、癌細胞を潜在的な状態に保持することが、乳癌の長期にわたるdormancyの一メカニズムであることが示唆される。そこでこのことをMCF7細胞にDox依存性p63発現系を導入し、マウスin vivo xenographt モデルを用いて検証する。さらにTAp63がmiRNAのmir-130b転写誘導することで、細胞の遊走性を抑制することを見出したので、このメカニズムを解明する。以上のことを総合して、p63の乳癌における役割を解明し、難治性の乳癌の治療法を提言する。 生殖細胞については、胎児期の生殖細胞は、形成直後に既に体細胞と比較して、放射線などDNA損傷性ストレスに高感受性を示す。本研究では、マウス胚の生殖細胞に放射線を照射しマイクロアレイ解析を行ない、照射に応答した発現変動が明らかになった候補遺伝子群、分子経路、microRNA群について、放射線の影響に関する機能をin vitroならびにin vivoで解析し、関連する分子ネットワークの解析を行なう。本研究により、放射線高感受性の分子メカニズムの全体を明らかにし、胎児期の生殖細胞が、傷ついた細胞を細胞死によって効果的に取り除き、ゲノムの変異率を抑え、細胞の安定性を維持するためのユニークな仕組みについて、解き明かすことを目指す。
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Causes of Carryover |
研究室に残存していた、試薬、消耗品が潤沢にあり、消耗品の購入が抑制できたため。また、P53ファミリー以外の、神経系研究及び論文の執筆に時間を割いたため。本年度は、試薬を多く購入する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Intracellular S1P Levels Dictate Fate of Different Regions of the Hippocampus following Transient Global Cerebral Ischemia.2018
Author(s)
Rashad S, Niizuma K, Saigusa D, Han X, Sato-Maeda M, Saito R, Uruno A, Fujimura M, Ikawa S, Yamamoto M, Tominaga T.
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Journal Title
Neuroscience
Volume: 384
Pages: 188-202
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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