2018 Fiscal Year Research-status Report
Regulatory mechanisms involved in SRF-MKL1/2 complex in epithelial tumors
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17K07154
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊庭 英夫 千葉大学, 真菌医学研究センター, 特任教授 (60111449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原口 健 千葉大学, 真菌医学研究センター, 特任助教 (10549455)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | MKL1/2 / SRF / SWI/SNFクロマチン構造因子 / 核内アクチン / 上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでクロマチン構造変換因子、SWI/SNF複合体の触媒サブユニット Brmの発現と、MKL1/2をcofactorとするSRFが誘導する標的遺伝子群の発現が逆相関することを示してきた。そこで本研究では上皮細胞においてBrm型SWI/SNF複合体(Brm複合体と略す)がどのような分子機構を介して、SRF- MKL1/2複合体の活性化能を負に制御しているのかを明らかにすることを目標としている。この分子機構として、1)Brm型複合体が直接SRFまたはMKL1/2と結合して、SRF-MKL1/2間の結合を阻害する。2)Brm型複合体が核内アクチンの重合・解離の平衡を制御して、間接的にMKL1/2やその制御因子の細胞内局在性を制御する。3)Brm型複合体によって転写活性化される遺伝子の産物がSRF-MKL1/2複合体に働いてその活性を阻害するといった可能性をこれまで検討してきた。 平成30年度は1)を検討したが、その過程でBrmの発現を欠失する細胞では、MKL1/2は細胞核内に局在するが、Brm型複合体を完備する細胞ではMKL1/2は細胞質に留まることが判明し1)の可能性は消滅した。そこで2) で仮定していた事象が起きているのか、核内アクチンの動態を観察するために、核内アクチンに結合するプローブタンパク質をA549細胞株に導入した検定細胞を作製してきた。この細胞にBrmに対するshRNAを導入したところ、コントロールshRNA導入細胞では、細胞株が均一に染色されたのに、Brm knock down 細胞では核の特定箇所に凝集した染色像がみられた。このことは核内F-アクチンの局在にBrm型複合体が大きく影響を与えることを示唆する。 同時に3)を検討し、Importin family 遺伝子群や Exportin family遺伝子群の発現に対するBrm依存性をmRNAに対するqPCRで定量解析した。その結果Importin の1遺伝子のみが、明確なBrm依存性の発現を示すことが、種々の上皮細胞株に対するBrmのknockdown 実験や、Brm発現欠失細胞に対するBrm補充実験で明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトごとに進捗状況をまとめる。 1) の可能性を明確に排除した。 2) 核内アクチンに結合するプローブ として開発されているいくつかのプローブタンパク質を作成し試験したところ、Lifeactに核内移行シグナルを付加したGFPを融合したタンパク質を導入した場合にのみに、十分な蛍光があった。これを導入したレポーター細胞の作出にも成功して、Brmに依存した核内アクチンの局在の変化を検出した。 3) Brmを発現するA549細胞に対して、その発現をshBrmで抑制した場合としなかった場合で大きくmRNAの発現量が変わる遺伝子をマイクロアレイ法、で解析したが、転写制御遺伝子やその他発現が高くない遺伝子の解析には十分でないことがわかった。そこで Importin family 遺伝子群 ((kpna1 ~ 7, IPO 4, 7, 8, 9 及び TNP 01, 02, 03))及び Exportin family 遺伝子群(XPO 1, 2, 4, 5, 6, 7)に集中して qRT-PCRスクリーニングにより探索を行った。その結果Brmの存在に依存して 50倍以上の発現誘導の見られる遺伝子を Importin family 遺伝子のなかから一つ検出することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクト1)の可能性は否定されたことからこれを中止し、今後は、2)と3)をそれぞれ推進する。 2)Brm knock down 細胞では核内 F-アクチンレポータータンパク質が核の特定箇所に凝集した染色像がみられた。この凝集した箇所に重なる細胞内構造体を、共染色法により同定を進めその生物学意味を追求する。 3)SWI/SNF依存的に正や負に制御されている遺伝子群の中に、Importin family の一つを同定したことから、この遺伝子が直接MKL1/2やその制御因子の細胞内局在性を制御する可能性を、このknock down 等により検証すると共に 2)との関連性についても解析を開始する。
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Causes of Carryover |
物品費、人件費等の査定に微妙な変更があり、残金が発生した。 引き続きの実験試薬、人件費に使用する。
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Research Products
(1 results)