2018 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of markers and mechanisms of NASH-associated liver cancer
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17K07177
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
梯 アンナ 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60382222)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発がん / 発がんマーカー / 幹細胞 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、生活習慣病と関連がある疾患であり、ウイルス性慢性肝炎と同様に肝硬変や肝細胞癌に進展する。本研究ではNASH関連の肝臓癌形成の機序の解明を目標とし、肥満や糖尿病を自然発症するツムラ・スズキObese Diabetic(TSOD)及びSTAM(C57BL/6-NASH)マウスを用い、病理組織学的検討、透過型電子顕微鏡解析と肝腫瘍及び肝臓組織においてCE-TOFMS, CE-QqQMS及び QSTAR-Elite LC-MS/MSを用いたメタボロームやプロテオーム解析、バイオインフォマティクス解析及び免疫組織学的解析を行い、特異的な変化を調べた。さらに、ヒトNASH生検、NASH肝細胞癌患者、HCV陽性の肝細胞癌患者の癌部と非癌部のプロテオーム及び免疫染色を行った。その結果によりNASH由来の肝細胞癌やNASH生検におけるinsulinシグナリング、SMAD3-TGFbeta、beta-catenin、Nrf2、SREBP-LXRalpha及びnuclear receptor-interacting protein 1転写因子の活性化が認めたれた。さらに、PPARsや p53の抑制、cytokeratin8/18の発現減少、ミトホンドリア機能不全、脂質代謝不全、アルコール代謝不全、線維化及び酸化的ストレスの誘導が認められた。STAMマウスの肝臓腫瘍及び前がん病変においてcache domain containing 1の発現上昇が観察された。ヒトのNASH肝細胞癌と異なって、STAMマウスの肝癌組織におけるPPARsの抑制が認めらなかったがCK8/18の有意な過剰発現が観察された。TSODマウスでは肝腫瘍に対するmTORシグナリングの活性化が認められ、それは糖代謝物質とarginineの上昇及びのarginase1の減少に関連していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TSODマウスでは、ヒトNASH様の組織変化を背景として多数の細胞巣と肝腫瘍の発生が認められた。TSODマウスの肝臓腫瘍では脂肪沈着、線維化やペルオキシソームの増加が観察され、TSNOマウスと比較して細胞増殖及びアポトーシスの有意に上昇が見られた。また、肝臓の変異性細胞巣において8-OHdG陽性率は有意に増加した。メタボローム解析によってTSODマウスの腫瘍では糖代謝物質(14-390倍)及びarginine(18倍)レベルの増加、adenylateとguanylateエネルギーチャージ、S-adenosylhomocysteineとS-adenosylmethionineの比率の有意な上昇、そしてglycineやmethionine及び酸化型グルタチオン(GSSG)の有意な減少が認められた。Arginineの増加がarginase 1(Arg1)の発現減少により引き起こされることが明らかとなった。さらに、TSODマウス肝臓腫瘍ではリン酸化酵素P-Akt、P-PI3K及びP-ERKの増加が認められ、それは肝腫瘍に対するmTORシグナリングの活性化によると考えられた。これに加えて、ヒトのNASH肝細胞癌の免疫組織化学的解析の結果により、Arg1の有意な減少が見られ、Arg1の発現と腫瘍分化度(P=0.035)及び病理学的ステージ(P=0.022)の有意な相関関係が認められた。さらに、Arg1陰性のNASH肝細胞癌患者の生存率がArg1陽性の癌患者に対して有意に減少していた(P=0.009)。現在の研究結果から、糖代謝物質とarginineレベルの上昇及びのArg1の減少とmTOR経路の活性化はNASH由来の肝発がんには重要な役割をもたらす。 STAMマウスの肝臓腫瘍及び前がん病変においてPPARsの抑制が認めらなかったがCK8/18及びCACHD1の有意な過剰発現が観察された。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro機能解析(30~31年度) 1. NASH関連蛋白質の遺伝子をヒト肝細胞にトランスフェクションし、細胞のphenotype、成長、細胞増殖、細胞死について検討する。また、RT-Q-PCR、ウェスタン・ブロットおよびQSTAR LC-MS/MS解析を用いて、プロテオームの変化を検討し、Ingenuity Pathway Analysisを用いてupstream regulatorやシグナル伝達解析を行う。 2.ウェスタンブロッ及びreal-time quantitative (RT-Q)-PCRを用いて、ヒト肝臓癌細胞株(HepG2やHuh-7)において発見されたNASH関連目的蛋白質の発現を確認する。HepG2やHuh-7を用いてNASH関連目的蛋白質のsiRNAを用いてリバーストランスフェクションし、遺伝子のRNAサイレンシング(ノックダウン)を行い、siRNAをトランスフェクションされた癌細胞の成長、増殖(WST8 assay)、細胞死、腫瘍細胞の移動力(cell invasion assay)を測定する。また、RT-Q-PCR、ウェスタン・ブロット、QSTAR LC-MS/MS、免疫染色解析を用いて機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
In vitro機能解析を行うために必要である。ヒト肝臓癌細胞株(HepG2やHuh-7)において発見されたNASH関連目的蛋白質の発現解析を行う。RNAサイレンシングのためにsiRNAを用いてリバーストランスフェクションを行う。細胞のphenotype、成長、細胞増殖、細胞死について検討する。目的蛋白質の発現を調べる(ウェスタンブロット、real-time quantitative (RT-Q)-PCR、免疫組織学的解析)。癌細胞の成長、増殖、細胞死を調べる(WST8 assay)、腫瘍細胞の移動力を測定する(cell invasion assay)を行う。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] mTOR activation in liver tumors is associated with metabolic syndrome and non-alcoholic steatohepatitis in both mouse models and humans2018
Author(s)
Okuno, T., Kakehashi, A., Ishii, N., Fujioka, M., Gi, M., and Wanibuchi, H.
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Journal Title
Cancers (Basel)
Volume: 10
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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