2017 Fiscal Year Research-status Report
NPM変異体とIDH変異体による協調的な急性骨髄性白血病発症メカニズムの解明
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17K07188
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
小川原 陽子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (30599626)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | AML / NPM / IDH2 / Hoxa9 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病(AML)の3割が伴うNPM(Nucleophosmin)の変異体(NPMc)は、白血病前駆細胞性を付与するIDH変異と同時に起こる場合が多い。我々はNPMcとIDH2変異体がAML発症において協調的に作用することをAML発症モデルマウスの系で明らかにしており、またin vitroで造血系前駆細胞にNPMcを発現させることにより誘導されるHoxa9の発現量が、IDH2変異体により協調的に著しく増加することを既に見出していた。 HoxA領域にはインシュレーター因子CTCFの結合領域が複数存在し、ヒストン修飾状態の制御に関わっていることが知られている。しかし、in vitroでCTCF結合領域に対するChIP解析を行ったところ、NPMcおよびIDH2変異体の発現によりHoxa9の発現量が誘導されている場合でもCTCFの結合量は変化しなかった。したがって、NPMcによるHoxa9の発現誘導にCTCFは関与していないことが示唆された。 Hoxa9の発現制御メカニズムを明らかにするために、Hoxa9遺伝子座のヒストン修飾状態を調べた。その結果、NPMcのみを発現した細胞で活性化ヒストン修飾が入り、それに伴いHoxa9の発現が誘導されることが明らかになった。一方でIDH2変異体のみを発現した細胞では抑制的ヒストン修飾が外れるものの、Hoxa9の発現は誘導されなかった。そして、NPMcとIDH2変異体の両方を発現させた細胞では活性化ヒストン修飾の増加と抑制的ヒストン修飾の減少が同時に起こり、それに伴いHoxa9の発現が著しく誘導されることが明らかになった。 以上の成果をもとに、NPMcとIDH2変異体がHoxa9遺伝子座に作用する分子メカニズムにせまる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、CTCFがNPMcによるHoxa9の発現制御に関与しているかどうかを検討することが出来た。また、NPMcとIDH2変異体がHoxa9遺伝子座の活性化、抑制的ヒストン修飾をそれぞれ独立に制御しているという非常に興味深い知見を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が開発したNPMc+AML発症マウスの系を用いて、in vivoでのNPMcの機能解析を行う。in vitroでみられたヒストン修飾状態の変化がin vivoでもおこっているかどうかを検証する。さらに、NPMcをloxp配列で挟み込んでおき、AML細胞にcreの発現を誘導して変異遺伝子をノックアウトすることにより、NPMcがAML幹細胞性の維持に必要であるかどうか、すなわちNPMcの機能を阻害することがAMLの治療戦略として正しいかどうかを明らかにする。 また、NPMcの分子メカニズムを明らかにするためにCTCFの機能解析を行う予定であったが、今年度の解析によりCTCFは関与していない可能性が示唆されたために、別のアプローチで解析を行う。NPMcはNPMを核内から核外へ移行させるため、NPMが核から出ることが大事なのか、それともNPMとNPMcが核外で機能することが大事なのかの解析を行う。また、Hoxa9遺伝子座におけるヒストン修飾酵素のChIP解析等を行い、NPMcとIDH2変異体がHoxa9遺伝子座を制御する分子メカニズムにせまる予定である。
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Causes of Carryover |
物品の価格変更等により当初の計画通りにはいかなかったため。 次年度の物品費として使用する予定である。
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