乳癌の転移・再発予防の治療開発を目指した新規血管擬態関連遺伝子群の同定と機能解析

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K07192
• Research Institution: Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kure Medical Center
• Principal Investigator: 尾崎 慎治 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (10558266)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 倉岡 和矢 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (00397928)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 乳癌 / vascular mimicry / 血管擬態 / 肝転移モデル

Outline of Annual Research Achievements

本研究はヒト乳癌における新規VM（vascular mimicry：血管擬態）関連遺伝子を同定し、」臨床上、有用な治療標的になり得るかどうかを検証することを目的とする。現在、以下の実験を進めている。
（１）乳癌臨床検体でのVMの発現状況の確認：乳癌症例の臨床検体を用い、VMの発現状況の確認を免疫染色により行っている。今後、VM陽性症例と予後との相関を検討し、臨床上のバイオマーカー、治療標的となり得るかどうかを検討している。
（２）ヒト乳癌細胞株のin vitroでの3D培養およびVM形成の確認：代表的なヒト乳癌細胞株をMatrigelでコーティングされた細胞培養ディッシュで培養し、3D培養を行い、VMの形成を確認する。使用するヒト乳癌細胞株は1. MCF-7 (Luminal-subtype) 2. SKBR3 (HER-2 subtype) 3. MDA-MB231(Triple Negative subtype)であり、現在、最適な培養条件を検討している。
（３）自家蛍光を発現するヒト乳癌細胞株の樹立：・乳癌細部移植部位での腫瘍形成および肝転移巣の観察のために、申請者らが確立した方法で自家蛍光を発するtdTomato遺伝子の乳癌細胞株への導入を行う。この操作により、移植部位での腫瘍形成および肝転移巣のIVIS(in vivo imaging system)での観察が可能となる。現在、tdTomto遺伝子が導入された細胞株の樹立に向けて実験を行っている。
・（１）（２）が終了した後、免疫不全マウスを用いた乳癌肝転移モデルの確立のためのin vivoの実験を開始する予定です。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

・ヒト乳癌組織を用いてVMと通常の血管の免疫染色を施行した結果、HER2-enriched、Triple NegativeのサブタイプでVMの陽性率が比較的高く、特に組織学的グレードが高い症例で陽性率が高い傾向にあった。
・乳癌細胞株の培養実験は安定した培養の条件検討が終了し、VM形成の再現を確認している段階である。
・それぞれのヒト乳癌細胞株へのtdTomato遺伝子の導入は安定した条件検討を行っている段階である。

Strategy for Future Research Activity

・今年度中に臨床データを調べ、VM陽性症例と予後との関係を検討する予定である。
・乳癌細胞株の培養実験でのVM形成の再現、乳癌細胞株へのtd-tomato遺伝子の導入を確認した後、マウス肝転移モデルでのVM形成の検討を行い、VM関連遺伝子の同定を試みる。

Causes of Carryover

・ヒト乳癌組織を用いた免疫染色でのVMの陽性率はLuminal-typeでは低く、また陽性率がそれほど高くないため、症例数を増やしての検討が必要であったため、検討に時間を要した。
・乳癌細胞株の培養実験では安定した培養の条件検討に時間を要し、VM形成の再現の確認が遅れている。
・tdTomato遺伝子のヒト乳癌細胞株への導入は細胞へのダメージが大きい場合があり、安定した導入条件の検討に時間を要している。