2019 Fiscal Year Research-status Report
脂質クオリティ分析を基軸とした泌尿器腫瘍の新規疾患マーカーの同定と検証
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17K07194
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
中西 広樹 秋田大学, 生体情報研究センター, 助教 (10466740)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 泌尿器がん / リピドーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、独自に開発したイノシトールリン脂質(PIPs)の高感度・高分離測定技術を用いて、罹患率が上昇している難治性固形がんの新規臨床マーカーの同定を目的としている。具体的には、PIPs代謝異常との関わりが報告されている泌尿器がんにおいて、ヒト患者検体を用いたリピドミクス解析を行い、そのプロファイルと臨床因子、治療反応性・副作用、予後、遺伝子多型などを多元的に解析することで診断、治療、予後に影響するマーカー分子の同定を目指す。 これまでの研究で解析ヒト腎がん患者のリピドミクス解析を実施し、イノシトール1リン酸(PIP1)量が、悪性度、進行度と相関することを見出した。さらに、詳細な解析を進めた結果、PIP1高値の患者の5年無転移生存率は96.2%であったのに対し、PIP1低値患者群の生存率は67.0%と術後組織中のPIP1量により術後再発、生命予後予測を行えることを明らかにした。 また、腎がん以外にも前立腺がん患者ならびにそのモデルマウスでのリピドーム解析を実施し、イノシトールリン脂質のアシル鎖の飽和状態の変化が前立腺がんの発症・進展に影響を及ぼすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト腎がん患者、前立腺がん患者のリピドーム解析を実施し、発症、進展ならびに予後予測可能な分子マーカーを発見した。また、前立腺がんについてはモデルマウスでの解析も進め、脂肪酸合成酵素との関連についての明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もがん患者の解析を継続し、術後再発や生存率のデータを蓄積していくことで、感度・特異度の高い至適カットオフ値を設定する。そして、再発防止や予後予測などを支援ならびに新しい作用点でのがん治療法の開発に進展させる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験は終えることができたが、本研究で発見した予後マーカーを用いたがん患者の術後生存率などをより詳細に算出するために研究期間を延長して追加観察をし、論文投稿まで終えたいため延長申請をした。
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