2017 Fiscal Year Research-status Report
転移性大腸がんに対するベバシズマブ併用療法選択のためのバイオマーカーの探索的研究
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17K07204
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
藤田 至彦 近畿大学, 医学部, 講師 (80192730)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 進行性大腸がん / 遺伝子コピー数増加 / bevacizumab / irinotecan / oxaliplatin / CGH アレイ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は以前、進行性大腸がん(mCRC) のFFPE 検体(n=154)から抽出したDNA より、ゲノム全体におけるDNA コピー数の増減をCGH アレイ法を用いて解析した。その結果、8q24.1-q24.2 に遺伝子コピー数増加(CNG)のみられる患者(n=62)のうち、FOLFIRI療法+bevacizumab治療群の患者の方がFOLFOX 療法+bevacizumab治療群よりも有意に長いPFSやOSを示した。最終的にこの染色体領域に含まれる遺伝子の中から、両併用療法の差別化に使えるバイオマーカーの特定および機能解析を行う。その前段階として、今回次の実験をおこなった。 ①8q24.1-q24.2領域でCNG を検出したすべての症例(DNA, 62 例)について、PCR 法でより正確な遺伝子増加倍率を算出したところ、上記CGH 法の妥当性が示された。 ②大腸がん細胞株を用いて、8q24.1-q24.2に含まれる5 個の遺伝子(TRIB1, FAM84B, POU5F1B, MYC, PVT1)それぞれについて、irinotecan(FOLFIRIの成分) やoxaliplatin(FOLFOXの成分) に対する感受性への影響を解析するために、これら遺伝子のノックダウンおよび強制発現株を構築した。ノックダウンには8q24.1-q24.2 領域にCNG を持つColo320細胞株、強制発現はCNG のないDLD1細胞株を用いた。タンパクの発現はウェスタンブロッティング等で随時モニターし、現在目的とするこれらの発現株を得ている。 ③現在、Colo320細胞株やDLD1細胞株からirinotecan、oxaliplatin耐性株を、それぞれSN-38、L-OHT の培地中の濃度を徐々に高め、数か月かけて作成している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この研究課題の基となる内容に関する論文をまとめるために、そちらの方にある程度の力を注いでいたため若干遅れが出た。現在投稿中。
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Strategy for Future Research Activity |
1.8q24.1-q24.2に含まれる5 個の遺伝子(TRIB1, FAM84B, POU5F1B, MYC, PVT1)のそれぞれの強制発現株やノックダウン株を用い、irinotecan、oxaliplatinに対する感受性をMTT法より生細胞数で見積もる。MYC以外の4個の遺伝子の中から単独で薬剤感受性に変化を来す遺伝子が見つからない場合は、MYCとのダブルでノックダウン、または強制発現を行い、相乗効果が生じるかみる。また、単独で候補遺伝子が見つかった場合も、同様にMYCとのダブル効果を検討する。その他、MYCの強制発現による増殖シグナルからストレスが生じ、それによって誘導される細胞老化や細胞周期への影響が候補遺伝子の追加によってどう変化するのか追加検討する。この点はp53やp21、cyclinD_CDK4、6などのタンパクの発現(ウェスタンブロッティング)や活性化(in vitro キナーゼアッセイなど)を追跡して評価する。lncRNAとしてPVT-1が転写調節を行う標的遺伝子の同定やPVT-1に内在する6個のmiRNAとMYCとの相互作用を評価するのにRNA免疫沈降法やクロマチン免疫沈降法などを使う。 2.irinotecan、oxaliplatinに対する薬剤耐性株の作成後、8q24.1-q24.2遺伝子群の機能的な変化を追う。また、この領域を含め全染色体におけるコピー数にどのような変化が起こっているのかCHG法で調べ、親株が8q24.1-q24.2領域にCNGを持つ場合と持たない場合とで対比する。さらに、個々の遺伝子レベルでの変化を調べるのにマイクロアレイ(Affymetrix社DNA chip)による発現解析を行う。 ここまでのデータより8_24遺伝子の中からirinotecanやoxaliplatinの感受性を上げるまたは下げる遺伝子を特定する。
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Causes of Carryover |
研究に使用する抗体1個を当該年度に購入予定であったが、使用するタイミングが遅れたため。 来年度に当抗体を購入する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Selection of opioids for cancer-related pain using a biomarker: a randomized, multi-institutional, open-label trial (RELIEF study).2017
Author(s)
Matsuoka H, Tsurutani J, Chiba Y, Fujita Y, Terashima M, Yoshida T, Sakai K, Otake Y, Koyama A, Nishio K, Nakagawa K
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Journal Title
BMC Cancer
Volume: 17
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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