2017 Fiscal Year Research-status Report
新規抗体医薬適用患者における免疫モニタリング法の整備とその臨床応用に関する研究
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17K07207
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
山下 万貴子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (00380668)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗腫瘍免疫 / 免疫モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的に、末梢血中における単球は"classical Mo"とよばれるinflammatory Moと、"non-classical Mo"と呼ばれるpatrolling Moの少なくとも2種類に分類でき、近年、Mo数が予後不良因子となる可能性や、non-classical Moが、がん抑制あるいは転移に関与している可能性が示唆されている。ヒトにおいては、両者を特定するmaster regulatorは同定されていないものの、CD14, CD16, CCR2およびCX3CR1などの発現で分画できるといわれている。一方、我々はこれまでに、限られた患者血液検体から多くの情報をより効率的に取得するために、最大18色を同時に染色できるマルチカラーフローサイトメーターを用いて、免疫担当細胞ポピュレーションの測定解析を進めており、これまでに、各種Lineage細胞数の変動や骨髄由来抑制性細胞(myeloid-derived suppressor cells: MDSCs)と治療効果との相関を報告している。 本年度は、新たにMoのsubpopulation、phenotypeおよびfunctionを評価するために、論文情報などの最新知見を参考に、最適な抗体クローンと色素の組み合わせを決定し、Mo解析用新規パネルを立案した。さらに、抗腫瘍免疫において重要なエフェクター細胞であるT細胞のサブポピュレーションをより詳細に解析するのためのパネルの改定も行った。 次年度は、これら新規Moパネル、T細胞ポピュレーションパネルのvalidationを行い、あわせて解析の安定性および再現性についても確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究により、重要であると認識されてはいるもののT細胞ほど解析が進んでいない単球などミエロイド系細胞群を解析するための新規パネルをデザインすることができた。また、日々更新されていく新しい知見をもとに、T細胞解析のためのパネルのアップデートを進めることが出来た。しかし、免疫モニタリング用血液検体の運用に関するバリデーションのための、新鮮血液検体取得の方法が確定しておらず、その点については、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、初年度においてデザインした新規パネルについて測定プロトコール(蛍光強度や蛍光補正)などを確定し、測定のバリデーションを行う。抗腫瘍免疫におけるミエロイド系細胞の重要性は指摘されているものの、それらを解析するツールがなかったので、本パネルを用いた今後の解析が期待される。なお、今後も新たな知見が得られた場合には、随時、パネルの改定およびバリデーションを行っていく。また、本バリデーションには市販の凍結血液検体を用いることとし、測定法の安定性および再現性を確認する。 一方、血液検体の運用に関するバリデーションのための新鮮血液検体取得方法については、引き続き検討を進める。
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Causes of Carryover |
初年度は、新規パネルの立案については予定通り進められたが、血液検体採取方法が確定しなかったため、血液検体運用のバリデーションについては遅れが生じた。 今後は、検体としては市販の凍結PBMC検体を用いることとし、新規パネルの測定条件確定や、さらなるパネル改良およびバリデーションなどを行っていく。なお、がん患者検体が得られた場合には、随時、新規パネルでの測定解析を行っていく予定である。また、マルチパラメーター解析の結果、情報量が非常に多くなるため、それらを解析するためのソフトウェアや解析機器の導入についても検討する。
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