2017 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺未分化癌に対する新規治療法および治療薬の開発
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17K07211
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西條 憲 東北大学, 大学病院, 助教 (70636729)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 甲状腺未分化癌 / HDAC / PI3K / lenvatinib |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺がんはその組織型により大きく予後が異なる。そのうち、甲状腺未分化癌は予後不良で、既存治療にも不応である。本研究は、アンメットメディカルニーズの高い甲状腺未分化癌に対して新規治療法、治療薬を開発することを目標としている。H29年度、甲状腺未分化癌細胞株(8305CおよびHTC/C3)を用いて、以下の方法により有効性を示しうる新たな治療法および治療薬のスクリーニングを行った。阻害剤ライブラリーとして、文部科学省先端モデル動物支援プラットフォーム分子プロファイリング支援の化合物ライブラリーを用いた。1.阻害剤ライブラリーを用いた、既存治療薬レンバチニブの作用を増強させる併用薬の探索。2. 阻害剤ライブラリーから新たな治療薬剤の候補を探索。3.研究代表者が開発中である新規HDAC/PI3K 二重阻害剤FK-A11の効果を評価。その結果、1.2.からはプロテアソーム阻害剤、HDAC阻害剤などが候補として選別されたが、3.のFK-A11が最も強い細胞胞増殖抑制効果を示した。また、FK-A11は8305C細胞において、western blottingによる作用機序解析の結果、HDAC阻害、PI3K-AKT経路の抑制の他、MYCの発現を抑制することが明らかになった。つづいて、FK-A11のin vivo 抗腫瘍効果の検証を行うための条件の設定を行った。FK-A11は難溶性であり、in vivo試験において、その溶解性の改善が必要であることが課題となった。あらゆる溶媒を用いても難溶性であったため、別の方法としてFK-A11をナノ粒子化し、分散させるという方法に取り組み、成功した。また、ヒト繊維肉腫細胞を用いたin vivo抗腫瘍効果の予備的な検討において、ナノ化FK-A11は通常のFK-A11よりも優れた抗腫瘍効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度は、in vitroの甲状腺癌細胞を用いた実験を行った。残念ながらレンバチニブの効果を特異的に増強させうる薬剤は選別されなったが、甲状腺癌細胞株に対して単独で効果を有する薬剤としてHDAC阻害剤が選別され、さらにHDAC/PI3K2重阻害剤活性を有するFK-A11が優れた細胞増増殖抑制効果を示した。そのため、次年度以降FK-A11による抗腫瘍効果の評価を予定し、そのための動物実験の予備的な検証を開始しており、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験については溶解性の問題があったが、ナノ粒子化したFK-A11を用いることでその問題を克服できると考えている。今後は、そのナノ化FK-A11を用いて、in vivoで甲状腺未分化癌に対する抗腫瘍効果を検証する。また、MYCがFK-A11が感受性のバイオマーカーになるかの検討を行う。
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Causes of Carryover |
試薬を含めた消耗品として次年度に使用する。
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