2020 Fiscal Year Research-status Report
抗腫瘍免疫活性能を増強したウイルス療法戦略の基礎研究
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17K07213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩井 美和子 東京大学, 医科学研究所, 技術専門職員 (50396884)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ウイルス療法 / 抗腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
G47Δは、正常細胞では複製できず、がん細胞のみを破壊する、強力な抗腫瘍効果と高い安全性を併せ持つがん治療用ウイルスであり、現在、前立腺がん・嗅神経芽細胞腫・悪性中皮腫を対象とした臨床研究、更には膠芽腫に対する第二相の医師主導治験が所属研究室にて展開されている。このウイルス療法は様々ながん腫に対して有効であり、既存の治療に抵抗性を示すような難治性がんに対する新規治療法として適応拡大に向けて開発が進められている。 ウイルス療法においては感染したがん細胞に対して特異的な抗腫瘍免疫を惹起できるため、がんワクチンとしての効果をも併せ持つ。そこで、G47Δを基本骨格として、抗腫瘍免疫惹起能を更に増強させるようなウイルスを開発し、ウイルス療法の治療効果の増強を目指して本研究を進めている。 これまでに作成した、抗腫瘍免疫惹起能を更に増強させる分子を搭載したウイルスおよびCRISPR/Cas9ゲノム編集システムを用いて作製した新規がん治療用HSV-1の抗腫瘍効果を引き続き検討した。マウス両側皮下腫瘍モデルを用いて、片側の皮下腫瘍のみにウイルス投与を行った場合に、遠隔の非投与腫瘍に対する特異的抗腫瘍免疫が惹起されていることの検証をリアルタイムPCRによる遺伝子発現解析によって行った。また作製した異なる分子を発現する複数種のウイルスをカクテルとして同時投与し、その併用効果を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗腫瘍効果の検証に用いた同系マウス皮下腫瘍モデルは、所属研究室にて日常的に使用している実験系として確立しており、先行研究あるいは予備実験にて使用する細胞数、G47Δの効果などの基礎データもあるため、新規ウイルスの比較検討が容易にできた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き継ぎ、同系マウス皮下腫瘍モデルを用いた抗腫瘍効果の検証を行う。抗腫瘍効果が認められた異なる分子を発現する複数種のウイルスの組み合わせを主に検討し、より効果的な組み合わせを探索した上で、投与プランに関しても検討を行い、最大の治療効果が得られるよう治療プロトコルを最適化して、臨床応用が可能な候補を絞り込む。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会への参加がオンライン参加となったため予定していた旅費が使いきれなかった。次年度の研究を加速させるため、実験消耗品に充てる予定としている。
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