2017 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍局所マクロファージの形質決定分子を標的とした新規治療法の開発
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17K07222
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
村岡 大輔 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (20608955)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍局所マクロファージ / 免疫チェックポイント阻害療法抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害剤はその高い治療効果から多くの期待を集めており、更なる有効性向上を目指した多くの研究が進められている。しかし、その一方で患者の約6~8割は当治療法に対し不応答性であることが深刻な問題となっている。不応答性の原因として、腫瘍局所の免疫環境、特に免疫チェックポイント阻害剤の標的分子(PD-1や PD-L1)の発現欠如、並びにCD8陽性T細胞浸潤の欠如が指摘されている。しかし、未だこの様な難治性腫瘍に関する知見は不足しており、チェックポイント阻害剤不応答性腫瘍を標的にした基礎研究および有効な治療法の開発は困難を極めている。一方、我々は以前、この様な免疫チェックポイント阻害療法不応答性腫瘍を用いた検討により、これらの腫瘍は腫瘍局所マクロファージ(TAM)が腫瘍抗原を提示しないことで、免疫チェックポイント阻害療法を含むがん免疫療法対し不応答性となることを明らかにした。また、このような腫瘍でも、TAMへと抗原提示能を付与することで、細胞性免疫に対する感受性を著しく増強し治癒へと導けることも明らかにしてきた。そこで、本年は、この様なTAMの形質決定を担う分子を同定することを目的として、免疫チェックポイント阻害療法反応性腫瘍および不応答性腫瘍のTAMを用いた網羅的遺伝子発現解析を行った。免疫チェックポイント阻害療法反応性および不応答性腫瘍をBALA/cマウスへと皮下移植し腫瘍回収後、セルソーターを用いてTAMを精製した。精製したTAMよりRNAを抽出後、網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、不応答性および反応性腫瘍間でIFN-γシグナルなどの各種サイトカイン関連シグナル分子の発現が異なっていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果は、免疫チェックポイント阻害療法反応性腫瘍および不応答性腫瘍における遺伝子発現に注目し、TAMの性質決定にIFN-γシグナルが関与している可能性を示した。これらの知見は、チェックポイント阻害療法抵抗性腫瘍の治療法の確立という本研究課題の目標に有用であり、有意義な成果が得られたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
TAMの性質決定におけるIFN-γシグナルの関与について掘り下げると共に、当腫瘍に対する治療法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
2018年度より研究室を異動することになった為、次年度使用額が生じた。これらは異動先における消耗品等の購入に使用する。
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