2018 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍局所マクロファージの形質決定分子を標的とした新規治療法の開発
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17K07222
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
村岡 大輔 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (20608955)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍局所マクロファージ / 免疫チェックポイント阻害療法抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の検討により腫瘍局所マクロファージ(Tumor Associated Macrophage; TAM)の性質決定にIFN-γシグナルが重要である可能性が示唆された。そこで、本年度は、TAMの形質決定にIFN-γシグナルが関わるか否かについてIFN-γノックアウトマウスを用いて検討を行った。腫瘍局所マクロファージが活性化する免疫チェックポイント応答性腫瘍を野生型マウスおよびIFN-γ KOマウスに皮下移植し、TAMの活性化状態を検討した。その結果、野生型マウス由来のTAMでは、各種活性化マーカーの発現が上昇しているのに対し、IFN-γ KOマウス由来のTAMではこの様な活性化が観察されたなかった。また、TAMの抗原提示能についても評価を行ったが、活性化分子の発現同様、野生型マウスで観察されるTAMの抗原提示能がIFN-γマウスでは消失することが明らかになった。さらに、この様なTAMの性質決定におけるT細胞の重要性を検討する為、ヌードマウスを用いて同様の検討を行った。その結果、ヌードマウス由来のTAMは、活性化状態が弱く且つ腫瘍抗原を提示していなかったことから、TAMのこれらの機能獲得にはT細胞が関与していることが示された。さらに、抗CD8抗体および抗CD4抗体によりこれらの細胞をそれぞれ除去することで、各細胞の重要性についても検討し、CD8およびCD4の両細胞がTAMの性質決定に関わることを明らかにした。以上の結果は、IFN-γシグナルおよびT細胞がTAMの活性化状態や抗原提示能を獲得するのに重要であることを示していると同時に、当シグナルが腫瘍の細胞性免疫応答への感受性向上の為の標的となり得る可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、TAMの性質決定にIFN-γシグナルおよびCD8、CD4陽性T細胞が重要であることを示した。これらの知見は、腫瘍の免疫チェックポイント阻害療法抵抗性となる機構の解明に向けた非常に重要な知見であり、有意義な成果が得られたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
TAMの性質決定変化が腫瘍内のT細胞におよぼす影響を検討すると共に、当腫瘍の治療への関連性について明らかにする。
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Causes of Carryover |
2017年度から2018年度にかけて異動が生じた為。免疫実験に必要な抗体などを購入する。
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