2018 Fiscal Year Research-status Report
新規免疫チェックポイント分子DC-HILを標的としたがん治療の研究
Project/Area Number |
17K07225
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
堀内 大 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30608906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 孝 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00326852)
高木 徹 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (20536891)
松井 政則 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (50199741)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腫瘍微小環境 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖タンパク質GPNMB/DC-HILは、免疫系や中枢神経系に発現し、免疫調節作用や神経細胞保護作用など多彩な機能を持つことが報告されている。近年、創傷治癒過程においてマクロファージの発現するGPNMBがCD44分子を介して間葉系幹細胞の増殖を促進することが明らかとなってきた。また、GPNMB/DC-HILは、骨肉腫などの間葉系悪性腫瘍に留まらずトリプルネガティブ乳癌など一部の上皮系悪性腫瘍の細胞膜上にも発現しており、腫瘍細胞の浸潤や転移など腫瘍病態進展との関連が報告されている。このことからGPNMB/DC-HILがCD44などの分子を介して腫瘍細胞と宿主由来細胞の双方の機能を調節し、腫瘍進展に関わる微小環境形成に影響を及ぼしていると考えられる。そこで GPNMB/DC-HILと腫瘍内微小環境形成との関係を明らかにすることを目的として、本研究ではゲノム編集技術CRISPR/Cas9システムによりGPNMB/DC-HIL関連遺伝子をノックアウトするためのガイドRNA配列を決定し、それを利用して関連遺伝子をノックアウトしたマウス腫瘍細胞株を樹立した。以上の研究を通じて関連遺伝子のうちのCD44を非常に効率よくノックアウトすることが可能なガイドRNAが得られた。本年度は、Phenotypeとして解析しやすいCD44を標的として、上述のガイドRNA配列を利用したCRISPR/Cas9システムを生体内腫瘍組織に効率よく運搬できるベクター系の開発を目指した。CD44は腫瘍組織内のみならず正常組織にも発現する分子であることから、当初予定していたアデノ随伴ウイルスベクターではなく、より腫瘍組織特異的に集積するベクターシステムを利用することとし、in vitro実験において、新しいベクターシステムが腫瘍組織に特徴的な環境に集積することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までに作製したCRISPR/Cas9システムを生体内に適応するため、本年度は新しいベクターシステムの開発に取り組んだ。標的分子は腫瘍組織だけでなく正常組織にも発現することから、腫瘍に特異的に集積するベクターを用いる必要があり、当初予定していたアデノ随伴ウイルスベクターから全く新しいベクターシステムに変更することとなった。この変更により進捗に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
新規ベクターに上述のガイドRNA配列を利用したCRISPR/Cas9システムを搭載し、腫瘍細胞のゲノム編集が可能なことをin vitro実験で確認する。さらに、腫瘍モデルマウスに本ベクターシステムを投与して、生体内腫瘍組織特異的にベクターが到達していること、腫瘍組織内にCRISPR/Cas9システムが送達されていること、腫瘍組織内細胞のゲノム編集が引き起こされていることを確認する。
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Causes of Carryover |
ベクターシステム変更により、研究進捗に遅れが生じたため次年度使用額が生じた。 次年度使用額は2019年度以降、新規ベクター作製やそれを用いたin vitro/in vivo実験に使用する計画である。
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