2017 Fiscal Year Research-status Report
グルタミン酸受容体によるPh陽性白血病幹細胞の制御
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17K07227
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
岡部 聖一 東京医科大学, 医学部, 講師 (40366109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 誠一朗 東京医科大学, 医学部, 助教 (50532298)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 白血病幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性骨髄性白血病(CML: chronic myeloid leukemia)は、多能性造血幹細胞の異常によって発症する、骨髄増殖性腫瘍である。90%以上の症例に9番と22番染色体の相互転座t(9; 22)である、フィラデルフィア染色体(Ph)が認められる。BCR-ABL1遺伝子にコードされる、BCR-ABLチロシンキナーゼタンパクにより、細胞増殖、アポトーシスの抑制があり、Ph陽性細胞が無秩序に増殖する。Ph陽性白血病の予後は、ABL阻害薬により改善した。しかし、ABL阻害薬に耐性の白血病幹細胞により、再発する症例が多数存在する。CMLを含む、Ph陽性白血病においても、白血病幹細胞の存在が示されており、少数の自己複製能を有する白血病幹細胞が、大多数の有限の分裂能しか持たない、白血病細胞を供給する、幹細胞システムが形成されていると考えられている。よって残された課題は、骨髄に残存する、白血病幹細胞をいかに制御して、新たな治療法を確立することである。グルタミン酸は、中枢神経系の主要な神経伝達物質である。他のがん細胞などで、グルタミン酸の受容体の発現の亢進、受容体のサブユニットを形成する分子に変異がみられることが報告されているが、Ph陽性白血病幹細胞の維持と発症に関して、グルタミン酸経路の役割はいまだに明らかではない。本研究では、グルタミン酸経路を中心にして、Ph陽性白血病幹細胞の維持に関与する分子を明らかにし、臨床応用を行い、Ph陽性白血病症例での真の治癒をめざすことを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、今回Ph陽性白血病由来iPS細胞を作成した。このiPS細胞は正常細胞と比較して、グルタミン酸受容体の発現が著明に亢進していることを確認した。またABL阻害薬の耐性細胞に対して、マイクロアレイによる解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイによる結果を検証し、グルタミン酸受容体と白血病幹細胞の関連を明らかにする。またiPS細胞を使用し、マウスでの解析を行う予定とする。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイによる結果の解析が次年度となったため。
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