2018 Fiscal Year Research-status Report
癌精巣抗原CRT2を用いた新たなCAR-T細胞療法の開発
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17K07233
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
林 恵美子 (林恵美子) 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (10620130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 徹 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 成育遺伝研究部, 室長 (10436107) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / 癌 / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、癌免疫療法の一つとして、キメラ抗原受容体発現T細胞療法(CAR-T療法)が注目されている。本研究においては、申請者が同定した癌精巣抗原CRT2を認識するCAR-T細胞(CRT2-CAR-T細胞)を樹立し、担癌マウスに供給できるシステムを構築することを目的とする。 当該年度までの間に、本研究の基盤となる癌精巣抗原CRT2を認識するヒトCRT2 (hCRT2)-CARを用いてhCRT2-CAR-T細胞を作製した。具体的には、CRT2のリコンビナントタンパクを発現・精製した後、マウスへ免疫しハイブリドーマを作製した。Anti-CRT2抗体とanti-His-tag抗体を用いたサンドイッチ法によりハイブリドーマの一次スクリーニングを行い、CRT2高発現細胞株に反応するクローンを二次スクリーニングした。スクリーニングで残ったハイブリドーマのH鎖とL鎖の塩基配列を決定し、同配列を基にCAR遺伝子を含むレトロウイルスベクターを作製した。 当該年度においては、ヒトとマウスのCRT2を認識する抗体を産生するハイブリドーマの塩基配列も決定し、レトロウイルスベクターへ挿入することが出来た。 ヒトT細胞へのレトロウイルス遺伝子導入はG3T-hi細胞を用いた一過性レトロウイルスベクターを調整後、レトロネクチン法によりヒトT細胞へ感染する方法を用いたがCRT2-CARをよりヒトT細胞に高効率に感染させるため、GalVエンベロープを持つPG13パッケージング細胞を用いてプロデューサー細胞も作製中である。 ヒト膵臓癌細胞株に対する特異的な抗体を産生するハイブリドーマも見出しており、今後は引き続き、それらのベクターを用いてhCRT2-CAR-T細胞を作製し、癌細胞に対する傷害性をin vitroで検討するとともに、担癌モデルに対するhCRT2-CAR-T細胞の抗腫瘍効果をin vivoで評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトT細胞へhCRT2-CAR遺伝子を導入したhCRT2-CAR-T細胞の不安定性が認められ、癌細胞に対するhCRT2-CAR-T細胞の抗腫瘍効果の解析を繰り返しており、予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
hCRT2-CAR-T細胞の癌細胞に対する傷害性を詳細に検討する。また担癌モデルマウスに対するhCRT2-CAR-T細胞の抗腫瘍効果を判定する。さらにhCRT2- CAR-T細胞療法と抗癌剤併用による抗腫瘍効果も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度に行う予定であった担癌モデルマウスに対するhCRT2-CAR-T細胞の抗腫瘍効果の検討を次年度に行うことになったため。
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