2017 Fiscal Year Research-status Report
Study of novel salicylic acid analogs for anti brain tumor reagent
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17K07237
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Research Institution | Shizuoka Institute of Environment and Hygiene |
Principal Investigator |
安藤 隆幸 静岡県環境衛生科学研究所, 医薬食品部, 主査 (40402226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 靖人 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (70222552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グリオーマ / 脳腫瘍 / 増殖抑制 / 低分子化合物 / 類縁体合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
静岡がんセンターにて悪性グリオーマ患者の切除組織から樹立に成功したグリオーマがん性幹細胞を標的とし、研究代表者が所属している研究機関で維持管理を行っている静岡化合物ライブラリーを用いて、同細胞に増殖抑制効果のある化合物のスクリーニングを継続して行ってきた。スクリーニングの結果、数種類のヒット化合物を見出した。その中の一つとして、有力なサリチル酸誘導体があり、その増殖抑制活性のIC50値は1uM程度であった。ヒット化合物のベース構造を有するサリチル酸は、古くから鎮痛剤や、抗生物質であるアスピリンなどの前駆体として用いられてきた化学物質であり、化学構造も非常にシンプルである。 本研究では、このヒット化合物の悪性グリオーマ細胞増殖抑制活性を向上させるべく、化合物の部分構造に様々な改変を加えた類縁体を合成し、ナノモルレベルでの細胞増殖抑制活性を示し、動物試験にて明確な腫瘍縮小効果や延命効果を示す化合物の創製することを目標とした。 平成29年度は、類縁体のデザインと化学合成に注力し、化合物のグリオーマ細胞増殖抑制活性の増強を試みた。 細胞増殖抑制活性については、研究分担者の静岡がんセンター研究所 秋山靖人副所長に依頼し、評価試験を行っている。評価結果と化学構造の相関から重要な置換基や環構造の解明を行っており、増殖抑制活性の向上のための類縁体の化学構造デザインに活かしている。脳腫瘍治療薬開発に向けたリード化合物の創製を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度には、ヒット化合物であるサリチル酸誘導体の類縁体を系統的かつ網羅的に化学合成し、おおよそ100種類の化合物を得た。サリチル酸誘導体構造中、置換基の種類及び位置、環構造の変換、結合の種類、結合の長さ、化合物の電子密度等のファクターを考慮して、多種類の類縁体をデザインし、実際に化学合成を行い、細胞実験が可能な純度の化合物を合成した。 具体的には、骨格、置換基、結合位置、結合原子を修飾した類縁体を、系統的かつ網羅的に化学合成した。効率のよい合成ルート・手法を用いて、迅速に純度の高い化合物を合成した。
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Strategy for Future Research Activity |
後は、類縁体のグリオーマ細胞増殖抑制活性を評価し、化合物の活性と構造の相関を明らかにし、有効構造を解明していく。さらに、サリチル酸誘導体の活性をナノモルレベルまで向上させ、動物試験に適用できるADMEを有するリード化合物の創製を目指す。
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Causes of Carryover |
合成装置のオプション品が入手できなかったため、次年度に購入する予定である。 また、合成試薬・ガラス器具について、既存の物が活用可能であったため、次年度の化学合成に使用する。
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