2018 Fiscal Year Annual Research Report
ファージディスプレイを用いた高親和性T細胞受容体の取得とがん治療への応用研究
Project/Area Number |
17K07238
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
葛島 清隆 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫応答研究分野, 分野長 (30311442)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | T細胞受容体 / がん免疫治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん抗原に特異的なT細胞から単離した抗原受容体遺伝子(TCR)を、レトロウイルスベクターなどを用いて患者Tリンパ球に導入する免疫療法は有望な治療法の一つである。治療効果を上げるためには、親和性の高いTCRを使用することが重要である。ヒトTCRのin vitro親和性増強においてファージディスプレイ法は代表的な方法である。そのため我々はまずファージディスプレイ法を習得し、既報告で用いられたTCR(HLA-A2/Tax)で親和性成熟実験の再現性を確認した。しかしながら、研究代表者が保有している3種類のHLA-A24拘束性TCR (hTERT, EpCAM, CMVpp65)を供した実験では、親和性の増加したTCRは得られなかった。この原因として、TCRによってはファージ表面に機能的蛋白が十分に表出しない可能性があると考えられた。 今年度は、ファージディスプレイ法に変わり得る、293T細胞を用いた新規のTCRディスプレイ法を樹立した。この方法ではCD3遺伝子を導入した293T細胞表面に、任意の一つのCDR領域にランダムな変異を導入したTCRライブラリーを表出させ、HLA/ペプチド-テトラマーで染色をした。上記のhTERT特異的TCRについて16種類のライブラリーを作製しスクリーニングをした結果、このTCRではβ鎖CDR1および2ライブラリーの中に、CD8非依存的にテトラマーに結合するTCRの集団があることが判明した。さらにフローサイトメーターを用いたソーティングにより、多数の高親和性クローンを得た。レトロウイルスを用いてヒトT細胞株に個々のTCRを導入した実験では、高親和性クローンは野生型に比べてほぼ1,000分の1濃度の抗原ペプチドを認識した。新たに確立したヒト培養細胞を用いたTCR親和性成熟システムは、ファージ上に提示され難いTCRにも応用可能であり有用な方法と考えられた。
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[Journal Article] Generation of TCR-Expressing Innate Lymphoid-like Helper Cells that Induce Cytotoxic T Cell-Mediated Anti-leukemic Cell Response.2018
Author(s)
Ueda N, Uemura Y, Zhang R, Kitayama S, Iriguchi S, Kawai Y, Yasui Y, Tatsumi M, Ueda T, Liu TY, Mizoro Y, Okada C, Watanabe A, Nakanishi M, Senju S, Nishimura Y, Kuzushima K, Kiyoi H, Naoe T, Kaneko S.
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Journal Title
Stem Cell Reports.
Volume: 10(6)
Pages: 1935-1946
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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