2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術を利用した神経分化関連転写因子MIBP1の機能解析
Project/Area Number |
17K07245
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
田平 知子 金城学院大学, 薬学部, 准教授 (50155230)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 転写因子 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ゲノム編集により転写因子MIBP1(HIVEP2)にエピトープタグ配列を挿入し、タグ配列に対する抗体を用いたクロマチン免疫沈降-シーケンスを行う方法(CETCh-seq法)を確立し、MIBP1の転写因子としての機能、特に脳神経系での標的遺伝子を解明することを目指している。本年度は、CRISPRガイドRNAおよびCas9を発現するプラスミド(PX458にCas9のターゲット配列としてMIBP1遺伝子終止コドン近辺の配列を挿入し、ガイドRNAとして発現されるようにしたもの)、およびエピトープタグ挿入用ドナープラスミド(pFETCh_Donorにホモロジーアームを挿入したもの)を構築した。ホモロジーアームとはドナープラスミドのエピトープタグ挿入用カセットの両側に挿入される相同組換えを起こさせるために必要な配列で、本研究ではMIBP1遺伝子の終止コドン周辺の約2 kb の配列に相当する。この配列を、ゲノム編集の対象となるヒトHT1080細胞のDNAからPCRにより増幅し、シーケンス解析を行った。ヒトゲノム参照配列と1か所のSNP以外は完全に一致することが確認できたので、これらの配列をIn-FusionクローニングによってpFETCh_Donorプラスミドに挿入した。つぎに、作製したこれら2種類のプラスミドをリポフェクション法によりHT1080細胞に導入した。このプロトコールでは、相同組換えが起きた場合にG418に対し薬剤耐性を示すようになるはずであるが、実際に薬剤耐性を獲得したクローンが得られた。現在、それらの細胞を解析し目的通りにMIBP1タンパク質のC末端にFlagタグが挿入されているかどうかの検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CETCh-seq法は2015年にMendenhallらにより開発された方法であるが、その後、新しい手法も次々に開発されている。より着実な成果が得られる方法はないかと考え、情報収集を行ったため、検討に時間がかかった。しかし、最終的にはプロトコールが確立している点などを考慮して当初の予定通りMendenhallらの方法を採用し、彼らのグループのプラスミドを入手して、MIBP1遺伝子ゲノム編集用のプラスミド構築を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム編集用のベクターを培養細胞にトランスフェクトして薬剤耐性となったクローンから、転写因子MIBP1の末端に相同組換えによりFlagエピトープタグがノックインされた細胞を選び、これを用いてMIBP1タンパク質結合部位の探索を行う。具体的には、Flag抗体を用いたクロマチン免疫沈降(ChIP)を行い、次に超並列型シーケンサーを用いてChIPにより回収されたDNAの配列解析(ChIP-seq解析)を行う。これによりMIBP1が結合する遺伝子群を同定する。また、並行して、神経系の細胞分化とMIBP1の発現誘導の関係を検討し、脳神経系での標的遺伝子を解明するために適切な細胞系にCETCh-seq法を応用する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、初年度にクロマチン沈降実験およびそれにより得られたDNAのシークエンスを行う予定であったが、実験計画がやや遅れているため、それらの実験を遂行できなかった。次年度にこれらの実験を行う予定である。
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