2017 Fiscal Year Research-status Report
分裂酵母のゲノム核内配置マップの作製による染色体-核膜相互作用の分子基盤の研究
Project/Area Number |
17K07249
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
近重 裕次 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 研究マネージャー (60359081)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核膜 / 染色体 / 分裂酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体と核膜との相互作用は、転写や複製の制御、あるいはヘテロクロマチンの構築などに深く関わることが知られている。これまで、分裂酵母では、テロメアやセントロメアについては、その核膜局在が明らかになっているが、それ以外のゲノム領域については不明な点が多い。本研究課題では、分裂酵母間期核を用いて、染色体と核膜との距離をゲノム全域にわたり計測し、ゲノムの核内配置マップを作製し、核膜に局在するゲノム領域を特定するとともに、核膜局在に必要な分子基盤・分子メカニズムを解明することを目的としている。当年度は、すでに作成している、分裂酵母全ゲノムにわたるlacO配列挿入部位可視化ライブラリ 143株に対し核膜からの距離を計測するための核膜マーカー遺伝子導入を進めた。そのために、すでに知られている核内膜タンパク質遺伝子の一部と赤色蛍光タンパク質RFPとの融合遺伝子を分裂酵母ゲノムへ導入するためのプラスミドを作成し、143株中24株について核膜マーカー導入を終えた。これら核膜マーカー導入株を用いて、特定染色体領域と核膜との距離を網羅的に計測するにあたり、計測のハイスループット化が必須であり、当該年度は、そのための、蛍光顕微鏡による観察条件を検討、確立し、これと並行して、核膜と染色体領域との距離測定のための画像解析プログラムの構築をすすめた。すでに安定した核膜局在を確認しているA19領域についてあらためて計測を行い、あらたに構築したプログラムを用いた計測でも核膜局在が再現されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度には、本研究課題の目的達成にむけて必須となる核膜マーカー導入用プラスミドを完成したこと、同マーカー導入株の獲得を順調に進めていること、蛍光顕微鏡を用いた計測条件を確立し、解析プログラムを構築しその精度や再現性を確認できたことなどから、おおむね順調に進呈していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
分裂酵母全ゲノムにわたるlacO配列挿入部位可視化ライブラリ 143株に対し核膜からの距離を計測するための核膜マーカー遺伝子導入を引き続き進め、導入株を用いた計測を行う。これと並行して、既知の核膜局在領域のシス、トランス因子解析を進める。
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Causes of Carryover |
当該年度は、核膜マーカー導入用プラスミドの作成が順調に進んだこと、観察条件の検討、および計測データの解析プログラムの構築に重点を置いたために、当初の計画よりは、分子生物学的、生化学的実験のための消耗品の使用が少なかったことにより、次年度使用額が生じた。次年度は、核膜マーカー導入株の獲得をすすめ、これらを用いた画像計測に加え、遺伝学的、生化学的解析を進めることとしており、そのための消耗品の使用の増加が見込まれる。
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