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2018 Fiscal Year Research-status Report

イモリとミズダニ:水陸環境を利用する宿主寄生者系が創出する種多様性とその保全

Research Project

Project/Area Number 17K07271
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

西川 完途  京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10335292)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 島野 智之  法政大学, 自然科学センター, 教授 (70355337)
蛭田 眞平  独立行政法人国立科学博物館, 分子生物多様性研究資料センター, 特定非常勤研究員 (80624642)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords共進化 / 共種分化 / 生物地理 / 系統分類
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、主にミズダニのサンプルを整理してDNA抽出と標本のプレパラート作成を行い、DNAは遺伝子解析を共同研究者らの協力を得て次世代シーケンサーを用いて行い、膨大なデータを元に行った。また、ホルマリン固定のダニ標本からもDNAを抽出して十分な長さのシーケンスを得ることに成功した。標本についてはドイツの共同研究者と計測・分析を共に行って詳細な形態データを整理することができたために、記載論文の準備に着手した。
ミズダニの系統関係は、一部にまだ改善の余地が見られるものの、おおよそ妥当な結果が得られており。宿主のイモリ類の系統関係や産地との関係を比較したところ、共種分化の可能性もある系統もあれば、そうでなく地域ごとにまとまる系統もあった。イモリ類は3属のサンプルを研究に用いているが、ミズダニの系統はそれとは一致しない。想像した以上に複雑な寄主ー宿主の関係にあるらしいことが明らかとなってきた。
また、ミズダニには未記載種が多く、分類の整理には時間がかかる可能性がでてきた。細かい形態形質の表を作成して形態変異の概要を整理しているところであり、記載できる系統から論文にしていく準備に取り掛かっている。
イモリ類の系統分類はかなり進んできており、少なくとも手元には未記載種はない。しかし、分子系統関係の頑健性には少し疑問があり、シーケンスの領域を増やすなどして分岐点の支持を上げる必要が未だにある。次年度に取り組む予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでに集めてきたサンプルを整理して順次遺伝子解析と形態解析に用いて、十分な結果が得られてきている。
ミズダニの分子系統解析に関しては有用なシーケンス情報を得ることに成功しており、ホルマリン固定標本からのシーケンスに成功したことは非常に大きな成果であった。今後も、博物館標本のミズダニなどからシーケンスして系統解析に加えられる可能性がある。当初の計画から考えれば順調と言える。
またミズダニに関しては分子系統関係から種の候補となるクレードを見つけ、それらについて形態的な特徴でも分けられることを確認できている。問題になるとすれば、ダニの幼虫の標本が多く、成虫が少ないクレードもあるために記載の時に標本数が足りない可能性もある。こちらも課題が出てきたものの基本的に順調である。
イモリ類についても最低限の系統樹は得ることができているので、当初の目的は達成している。ダニの寄生のない種も多く存在するので、それらを含めた系統関係の構築には取り組めていないが、サンプルはほぼすべて入手できたので解析は可能である。
ミズダニとイモリの共進化、共種分化に関しても、想像以上に複雑な関係を示すことが明らかになってきており、今後の解析の改善により最終的な結論を導ける可能性が高い。
ゆえに全般的に判断して、本研究は順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

ミズダニに関しては新たな野外調査か博物館標本の調査により、標本の足りないクレードについてサンプルの追加を行う必要がある。そして記載できる種については可及的速やかに論文執筆に取り組む。より具体的には共同研究者のドイツ人研究者との議論が必要な状況になってきている。
イモリ類については分子系統関係に弱い部分があるために、シーケンス領域を伸ばして、より頑健な系統関係を得ることを目指す。ダニの寄生の報告のない種でシーケンスできていないものがまだ多くあるがサンプルは入手できているので、順次解析して系統解析に加えていく。宿主イモリの候補種も加えて、関係する3属のほぼ全種の頑健な系統関係を構築する。
ミズダニとイモリの共進化の解析についても、様々な解析を駆使して取り組む予定で、モデル検証型の分析を論文に盛り込む予定である。
上述のように共同研究者のドイツ人と論文執筆のための相談が必要になってきたので、彼を日本に招聘して、ミズダニの記載論文の執筆を共同で進めて、来日中におおよその原稿の準備を終える予定である。

Causes of Carryover

来年度(2019年度)がまとめの年であり,実験費などが様々にかかるため少額ながら節約したため.

URL: 

Published: 2019-12-27  

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