2017 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of DNA replication initiation based on controlling technique of single DNA molecules
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17K07280
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
桂 進司 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (10260598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大重 真彦 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (00451716)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 1分子観察 / DNA合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物におけるDNA複製には増殖細胞核抗原(PCNA)、複製因子C(RFC)等の補助タンパク質が同定されたが、反応の素過程などは明らかになっていない。本年度はヒトDNAポリメラーゼδ(polδ)と相互作用因子であるヒトPCNAとのDNA合成反応を1分子レベルで解析する事を試みた。 具体的にはp125の触媒サブユニットのみを持つpolδを調製し、活性を確認した。その後、液滴移動法を用いてPCNAの存在下または非存在下でのDNA合成反応への影響を調査した結果、PCNAの存在下及び非存在によるDNA合成長に大きな差は見られなかった。従ってヒトpolδ触媒サブユニットのみではPCNAと相互作用しない事を示唆している。 また、1分子レベルでのDNA合成長の計測を効果的に行うためには、数多くのDNA分子をガラス基板上に固定し、同時に多くのDNA分子の挙動を観察する必要がある。これまで、末端にビオチンを導入したDNAの溶液をアビジン修飾した微細流路中に連続的に流すことにより、DNA末端で固定化を行ってきた。しかし、微細流路中では、流路内に形成される層流によりDNA分子末端が流路中心に引きずられるために、DNA分子末端が微細流路表面に衝突する機会が減り、その結果として、十分なDNA分子固定数が得られていないと考えた。そこで、DNA分子供給のための「流す時間」と固定化のための「流れを止める時間」の総和を90分とし、最大の固定化数を得られる条件を検討した。その結果、流れの停止時間30分,流動時間60分が最大の固定化数が得られ、単純に微細流路中にDNA試料を連続的に供給した場合の30倍程度の固定化数が得られた。この成果により、今後の1分子観察実験を効率的に進めることが可能になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
末端固定化DNAが効率よく調製できないために、今年度の進捗状況としては「やや遅れていると」との評価になってしまったが、本年度の研究の結果、効率よくDNA分子を末端で固定できることが可能になったので、来年度はこの遅れを取り戻すように研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、TAg、Topo I、polα・δ・εを中心とした各酵素単独での1分子解析することで、各段階のDNA複製反応の中間過程を明らかにする。とりわけ、polεとPCNAとの相互作用を1分子レベルで解析し、他のDNAポリメラーゼの性質との違いを1分子レベルで解析を進める。また、本年度は十分に進展しなかったDNAへ超らせん構造を導入しながら蛍光解析を行うシステムの改良を進めるとともに、TAg、Topo I、polα・δ・εなどの各種DNA複製因子のタンパク質複合体形成時における挙動解析を、鋳型DNAへの超らせん導入の有無の条件下にて行う。この実験で、超らせんが各種DNA複製因子の反応に与える影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
顕微鏡照明装置に不具合が発生したが、H29年度の予算では更新が困難であったので、H30年度の予算と合わせて、更新を行うこととした。
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Research Products
(1 results)