2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of functional crosstalk between Fanconi anemia proteins and aldehyde metabolism
Project/Area Number |
17K07286
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
酒井 恒 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 助教 (70526251)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ファンコニ貧血 / 脂質代謝 / DNA損傷 / DNA修復 / アルデヒド |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はファンコニ貧血の責任遺伝子産物(FAタンパク質)の1つであるFANCD2タンパク質と脂質代謝制御に新たな機能的連関が存在する可能性を見出した。当該年度においては、培養細胞を用いたFANCD2タンパク質の細胞内動態を観察した結果、脂質代謝環境の変化に応答した核内外におけるFANCD2タンパク質の新規の局在変化を見出した。現在までのところFANCD2の他、FANCIも同様の動態を示すことが明らかになっている。本解析で得られたFAタンパク質の新規の動態変化は、これまで他に報告のない全く新しい細胞応答である。これらの分子制御機構や生物学的意義については不明な点が多いが、FAタンパク質が脂質代謝制御に関与する分子メカニズムを解明する上で重要な手がかりとなると考えられる。 また、本課題の解析から脂質代謝に関連する酵素の1つがFANCD2と相互作用することが見出されたことから、脂質代謝の過程で細胞内に生成されるアルデヒドがファンコニ貧血の病態発症に及ぼす可能性について検討した。まず、FANCD2をノックアウトした細胞では顕著な脂質代謝の変化が見出された。そこで、脂質由来のアルデヒドを分子内に抱合することが知られている抗酸化剤を細胞培養の培地に添加した結果、それらの変化を抑制することに成功した。これらの結果は、FAタンパク質の異常によって引き起こされる脂質代謝異常を、薬剤等によってコントロール可能であることを示唆している。ファンコニ貧血の半数以上に原因不明の脂質代謝異常が見られることから、本解析で得られた結果はそれらの発症に関与している可能性があり、今後さらに解析を行う予定である。
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