2018 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of TSC2 function by reversible acetylation
Project/Area Number |
17K07295
|
Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
川口 禎晴 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 発生障害学部, 主任研究員 (00450833)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | TSC2 / Rheb / SIRT1 / 脱アセチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に見出したアセチル化不全によるTSC2リン酸化(Thr1462)の減弱とTSC2のmTORシグナリングへの強抑制について、その分子メカニズムの解明に迫った。細胞内ではTSC2はTSC1と複合体を形成してmTORの活性を抑制している。まず、TSC2のアセチル化がこの複合体に影響を及ぼす可能性を検証するために、TSC2アセチル化不全変異体を用いて内在性TSC1との複合体形成能力を調べたが、TSC2野生型と比べて差は見出せなかった。すなわち、アセチル化はTSC1-TSC2複合体形成に影響しないことが明らかになった。続いて、mTORを活性化するRheb分子について着目し、TSC2のアセチル化がRhebとTSC1-TSC2複合体との結合に及ぼす影響を調べた。TSC2野生型を用いた場合においてRhebがTSC1-TSC2複合体に結合していることを観察したが、一方でTSC2アセチル化不全変異体を用いた場合、Rhebはより多く結合していることを見出した。この結果は、TSC2のアセチル化はTSC1-TSC2複合体とRhebとの結合に影響を及ぼすことを示しており、アセチル化不全によるmTORシグナリングの強抑制は、Rhebがより多く複合体に取り込まれた結果、mTORを活性化できなかったためと考えている。 また、我々はTSC2のアセチル化状態をコントロールする分子の同定を試みた。昨年度の結果から脱アセチル化を担う分子はHDACsとは異なる分子であるを見出していたので、本年度はSIRTsを候補として検討した。その結果SIRT1とSIRT2がTSC2を脱アセチル化すること、このうちSIRT1が脱アセチル化を担う内在性分子であることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TSC2のアセチル化不全がmTORシグナリングに及ぼす影響について、分子レベルでの検証ができ、そのメカニズムに迫ることができたため。また、可逆的アセチル化を担う分子を同定することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
TSC2のアセチル化による機能制御について、より包括的に検証するためにノックインマウスの作成に着手する。また、アセチル化TSC2を得意的に認識する抗体を使って、細胞内でいつアセチル化が行われているか?またその意義について明らかにする。同時に、可逆的アセチル化を担う分子として「アセチル化酵素」を同定し、TSC2の可逆的アセチル化制御機構を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
実験を効率良く実施することに努め、研究試薬や消耗品などの購入量が予定より少なくて済んだため。
|