2019 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of TSC2 function by reversible acetylation
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17K07295
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Research Institution | Institute for Developmental Research Aichi Developmental Disability Center |
Principal Investigator |
川口 禎晴 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 細胞病態研究部, 主任研究員 (00450833)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TSC2 / アセチル化 / mTOR / 概日リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究成果から、TSC2分子のアセチル化は分子内のリン酸化状態に影響を及ぼすことでTSC2の働きを弱めること、また、mTORシグナリングの活性化因子であるRhebの効果を強めることが明らかになり、結果としてmTORシグナリングを活性化することを見出した。今年度は、TSC2のアセチル化によるmTORシグナリング活性化の意義について明らかにする目的で、TSC2のアセチル化状態がどのような環境因子や刺激などによって影響を受けるかを調べた。 その結果、細胞内の栄養状態の変動に依存してTSC2のアセチル化状態は変化すること、また、昼夜の日内変動によってもアセチル化状態が変化することを見出した。この昼夜の変動についてより詳細に検証した結果、TSC2のアセチル化は概日リズムに伴って変動することが明らかとなった。またこの変動をもたらす一つの要因として、脱アセチル化酵素であるSIRT1の発現量変化が関与する可能性が示された。一方で、未知のアセチル化酵素の関与も示唆される結果を得た。 mTORシグナリングについては、時計遺伝子であるBMAL1のタンパク質量をコントロールすることで概日リズムに関与すると報告されている。mTORシグナリングの活性変動をもたらす因子については様々な報告があるが、その分子機構については不明な点が多い。今回の我々の研究成果は、TSC2のアセチル化の変動がmTORシグナリングの活性変動の起点となり、リズムを生み出すという、概日リズムの分子機構の解明に極めて重要な情報を提供する。 なお、本研究成果については論文発表を準備中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TSC2のアセチル化の生物学的意義について、mTORシグナリングの調節を介した概日リズムへの関与を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
TSC2アセチル化のmTORシグナリングを介した概日リズム調節について、その役割を担うアセチル化酵素、及び脱アセチル酵素を決定して、分子機構を解明する。また、TSC2のアセチル化不全遺伝子改変マウスなどを作製に着手し、生体における影響(表現型解析)を実施したい。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究成果を論文としてまとめることに従事し、実験等を実施する機会が減ったため。次年度使用額の用途については、論文掲載に必要な追実験の支出に充てる。
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