2017 Fiscal Year Research-status Report
蚊媒介性フラビウイルスRNA複製複合体の構造生物学
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17K07322
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
清水 英明 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (10360562)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 複製複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウイルスRNA複製複合体(replication complex)はウイルス遺伝子複製を担う分子装置であり、その会合は極めて正確な機能遂行において不可欠なプロセスである。本研究ではフラビウイルス科に属するデングウイルス等のRNA複製の主要酵素であるRNA依存性RNAポリメラーゼNS5タンパク質およびNS5を中心に構成される複製複合体の構造解析を実施し、フラビウイルスにおけるRNA複製の構造基盤を解明することを目的とする。 本年度はまず複製複合体を構成する各ウイルスタンパク、宿主因子などの大腸菌/バキュロ(共)発現系の構築、およびウイルスRNAのin vitro合成系の構築を行い、それぞれ大量調製を実施した。いずれも収量は極めて良好であり、DENV1-4のNS5タンパク質については高いポリメラーゼ活性を示すことを確認した。これらのリコンビナントタンパク、RNAを用いてゲル濾過による複製複合体再構成実験を実施した。NS5-ウイルスRNA複合体については1対1の安定な複合体が得られ、DENV1、DENV2、DENV3についてそれぞれ2000条件程度の結晶化スクリーニングを実施した。また、巨大な複合体として調製された複合体画分については、ネガティブ染色法による電子顕微鏡観察を開始した。さらに複合体構成タンパクのキメラタンパクを数種類作成し、大量発現系の構築を行った。N末端とC末端に異なる精製タグを付加することで、高純度で均一な分子量のキメラタンパク質を得ることができ、ネガティブ染色法による電子顕微鏡観察を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に必要な発現系はほぼ完成し、複製複合体の再構成実験、結晶化スクリーニング、電顕による構造解析を開始した。発現、精製条件など、初年度の目的をおおむね達成しており、次年度以降に必要な予備的なデータを得ている。ジカウイルスNS5については本予算執行直前に複数のグループから構造解析の報告があったことから、本課題においてはデングウイルスとアルファウイルスの構造解析を優先的に進める方針とした。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA結合型複製複合体の調整を行い、当センターに設置されている電子顕微鏡による高分解能立体構造解析を試みる。あわせて複製複合体に結合しうる宿主因子の検討も行う。アルファウイルスについては、ポリメラーゼ単体と複合体の調製を試み、変異等を導入してタンパク質の安定化を図る。
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Causes of Carryover |
ジカウイルスNS5については本予算執行直前に複数のグループから構造解析の報告があったことから、平成29年度は既存のデングウイルスの構造解析を優先的に進めたため未使用額が発生した。平成30年度については、未使用額をアルファウイルスに関する研究に充てる予定である。
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