2020 Fiscal Year Annual Research Report
Time-resolved serial femtosecond crystallography at an XFEL to reveal conformational changes in Cl- pump rhodopsin, NM-R3
Project/Area Number |
17K07324
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
保坂 俊彰 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (40462725)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クロライドイオンポンプ / X線結晶構造解析 / SACLA / 時分割結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋性細菌Nonlabens marinus由来NM-R 3 (N. marinus rhodopsin-3)は光駆動性クロライドポンプである。光駆動性クロライドポンプの中で最も研究が進展しているハロロドプシン(HR)とは異なる系統から独自に進化し、アミノ酸配列に大きな違いが認められ、イオン輸送に関わるモチーフ配列も異なっている。申請者は、このNM-R3の構造解析に成功し、HRやバクテリオロドプシンなど他の細菌型ロドプシンとの相違点を明らかとしたが、詳細なイオン輸送機構については未知の部分が残っている。そこで、本研究では、NM-R3のイオン輸送機構の詳細な解明を、構造の面から明らかとすることを目的とした。 2020年度は、研究実施計画に基づいて、X線自由電子レーザー施設SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)にて今までに得られている2つのtime point(10 μsecと1 msec)のデータを用いて、より詳細な構造解析・精密化を行った。この結果、NM-R3は、レチナールの異性化が起きたのち、アニオンが移動していた。このアニオンと相互作用していたhelix Cに存在しているアミノ酸Asn98が、アニオンが移動した空きスペースに向かって移動することで、このhelix C全体の構造変化を引き起こしていた。また、レチナールの異性化に伴い、主に膜貫通helixF・Gの移動が観察された。さらに、構造変化に伴うアニオンの移動部位の同定にも成功した。これらの成果により、NM-R3の輸送機構の一端を解明することができ、HRやバクテリオロドプシン、ナトリウムイオンポンプロドプシンなどとの構造変化における共通点や相違点について議論することができた。
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