2018 Fiscal Year Research-status Report
小胞体タンパク質品質管理を制御するサイトゾル由来の還元力伝達経路
Project/Area Number |
17K07332
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
寳関 淳 京都学園大学, バイオ環境学部, 准教授 (40423058)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | タンパク質分解 / レドックス |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体は分泌タンパク質及び膜タンパク質のフォールディング及び成熟の場である。小胞体は細胞内で合成されるタンパク質の約3割を占める大量のタンパク質を扱うため、厳格な品質管理機構を有している。ストレス等により、このような厳格なタンパク質品質管理機構が破綻した状態は小胞体ストレスと呼ばれ、神経変性疾患をはじめとする様々な疾患発症の原因と考えられている。小胞体でフォールディングされるタンパク質の多くは構造形成や機能発現のためにジスルフィド結合形成を必要とする。そのため、小胞体はジスルフィド結合形成に適した酸化的な環境にある一方で、小胞体における異常タンパク質の分解経路においてはミスフォールドタンパク質のジスルフィド結合を還元する必要がある。その還元力として還元型グルタチオンが必要だと考えられてきたが、近年、グルタチオンは必ずしも必要ないことが明らかとなり、その代替還元力としてチオレドキシンが必要であることがわかってきた。しかし、チオレドキシンはサイトゾルに局在し、その還元力をどのように小胞体内に供給しているのかは不明なままである。その機構を明らかにするのが本研究の目的である。 前年度はチオレドキシンと結合する小胞体タンパク質を同定し、その中からサイトゾル側でチオレドキシンと結合するのに必要なシステインを持ちかつ生物種間で保存されている遺伝子をさらに絞り込み、その破壊株を作製した。この遺伝子破壊株において小胞体内にミスフォールドタンパク質を発現させた際の表現型が安定しなかったため、今年度は元々親株が持つ遺伝子修復系遺伝子の変異を修正したうえで破壊株を作製し直したうえで、これら破壊株の中でチオレドキシン破壊株と同様な生育阻害が観察される遺伝子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
親株における遺伝子変異により表現型が安定しないという想定外の事態が生じたもののおよそ実験計画に沿って研究が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を受けて、チオレドキシンから還元力を伝達する小胞体膜タンパク質を同定し、その機構を解析する。また、ヒト培養細胞においてもチオレドキシンの小胞体タンパク質品質管理への関与を解析する。
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Causes of Carryover |
出席すべき学会の出席日数も必要最小限に節約した結果、当初予定より使用額が減少した。 (使用計画) 今年度は、実験の性質上、消耗品代がかかると予想されるので、前年度繰り越し分を使用する。
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