2017 Fiscal Year Research-status Report
核小体ストレスによるユビキチン様タンパク質MNSFβの脱凝集化と細胞増殖制御
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17K07335
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中村 守彦 島根大学, 地域未来協創本部, 教授 (20155865)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ユビキチン様タンパク質 / 核小体ストレス / 分子シャペロン |
Outline of Annual Research Achievements |
MNSFβは当研究室で発見した多様な生物活性を有するユビキチン様タンパク質である。マクロファージ細胞株RAW264.7において、最近明らかにしたMNSFβパートナータンパク質である分子シャペロンHSPA8をsiRNAノックダウンすると、MNSFβの発現量が有意に減少し、逆に過剰発現で増加することを抗MNSFβ抗体によるウェスタンブロットにより確認した。 MNSFβは非常に凝集性の高いタンパク質である。そこで、HSPA8によるMNSFβの脱凝集化についてタンパク質凝集検出試薬ProteoStatを用いて検討した。GST-MNSFβ融合タンパク質をトロンビンで切断すると、MNSFβは凝集体を形成するが、HSPA8およびATP存在下ではその凝集が抑制されることを明らかにした。 MNSFβ-GFP融合タンパク質を用いてHeLa細胞における細胞内局在を解析し、MNSFβは主に核小体に局在することを共焦点レーザー顕微鏡により観察した。アクチノマイシンDまたは栄養飢餓によるストレス誘導により、MNSFβの局在が核小体から細胞質へ移行した。さらに、核小体ストレス誘導時(栄養飢餓状態)でのMNSFβノックダウンによりがん抑制遺伝子産物であるp53の発現が上昇した。核小体ストレス応答では、p53の安定化により細胞増殖が停止することが報告されており、以上の結果から、MNSFβは核小体ストレス応答を介した細胞増殖を制御することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って遂行し、概ね結果を伴っている。具体的には、これまで困難であったMNSFβの凝集性を回避するシステムを分子シャペロンHSP8を活用して構築できた。そして、栄養飢餓やアクチノマイシン刺激による核小体ストレスにより、MNSFβの局在が変化することを共焦点レーザー顕微鏡により確認し、細胞増殖制御の観点からp53との関連性を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
① 免疫沈降法によるMNSFβ/HSPA8/Bcl-G複合体の検出 ② 核小体ストレス時のMNSFβ標的タンパク質の同定 ③ 栄養飢餓(グルコース飢餓等)による核小体ストレス誘導 ④ p53を制御するシグナル伝達の検討(MDM2、ATM、PTEN、AKTなど) ⑤ 腹腔マクロファージを使用した基礎検討
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Causes of Carryover |
計画通りに研究を進めたところ、予想外の新しい標的タンパク質を発見した。本知見を有効活用するために予備実験を遂行することとし、本年度に計画していた実験の一部(特異抗体を利用したタンパク質化学実験)を次年度に実施することとした。 この計画変更により一層有益な研究成果を達成できると期待できる。
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Research Products
(1 results)