2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the signal integration mechanism on R-Ras family small GTPase in axonal guidance
Project/Area Number |
17K07340
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
生沼 泉 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (40452297)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経細胞 / R-Rasサブファミリー / R-Ras / M-Ras / TC21 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前の研究で、ガイダンス因子により集約的に活性調節を受けることが明らかにされている低分子量Gタンパク質のR-Rasサブファミリーは、R-Ras(R-Ras1)、TC21(R-Ras2)、およびM-Ras(R-Ras3)の3つのメンバーから成るが、それぞれの神経発達過程での発現や活性の調節機構は明らかではない。今年度の研究で、各メンバーの発現パターンを解析した。まず、ラット初代培養細胞を用いた系を用い、神経細胞の成熟過程における各タンパク質の発現変化を検証したところ、R-Rasが神経細胞の発達時期に関わらずの発現を示した一方で、TC21およびM-Rasは発達後期に発現が亢進されていた。この発現変化は、マウス大脳組織を用いたウエスタンブロット解析によっても確認できた。また、初代培養神経細胞、グリア細胞、および線維芽細胞を用い、各低分子量Gタンパク質の発現パターンの差異を確認し、M-Rasが神経細胞および線維芽細胞で高い発現を示すのに対し、R-Rasは細胞種を問わず一定の発現を認めた。各さらに、P19胚性腫瘍細胞株(EC細胞)を用いたin vitro神経分化系での解析により、R-Rasは未分化EC細胞に高い発現が見られたのに対して、M-Rasは未分化EC細胞では発現が見られず、分化後神経細胞で発現が誘導されていることが明らかになった。また、脳組織に対するin situ hybridaization法を用いた発現パターン解析により、各サブファミリー間での発現部位の差異が観察された。さらに、各低分子量Gタンパク質を効率的にノックアウトするためのCRISPRコンストラクトの構築を行い、ゲノム切断活性を確認した上で、ゲノムサンプルのシーケンスの確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EC細胞を用いたin vitro神経分化系により、R-RasおよびM-Rasの神経分化における新たな機能差異が示唆されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、各種ガイダンス因子シグナルのシグナル統合地点として位置するR-Rasサブファミリー(R-Ras, TC21, M-Ras)に焦点をあて、それら活性の制御機構および下流シグナル経路を明らかにしていく。さらに、本研究期間において初めて明らかになった、神経細胞への分化過程におけるR-Rasサブファミリー各タンパク質の役割について、今回作製したCRISPRコンストラクトを用いてノックアウト細胞株の樹立などを行い、機能解析をすることで逐次明らかにしていく。
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Research Products
(7 results)