2018 Fiscal Year Research-status Report
アティピカルな低分子量Gタンパク質群のGサイクル制御機構と生理的役割の解析
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17K07351
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
紺谷 圏二 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (30302615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 信 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (20552904)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 低分子量Gタンパク質 / ARL8b / リソソーム / BMP / ノックアウトマス / 胚発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子量Gタンパク質ファミリーはヒトでは150種類以上が知られており、構造上の特徴からRAS、RHO/RAC、RAB、ARF/ARL、RANの5つのサブファミリーに分類され、細胞増殖、細胞骨格、細胞内物質輸送、細胞質-核間輸送などの制御を行っている。それらの中で、ARL (ARF-like) サブファミリーはARFと相同性がある分子として主にゲノムデーターベースから同定された低分子量Gタンパク質群であり、ヒトでは20種類以上存在する。ARLサブファミリーに属するARL8bは、主にリソソームに局在し、エンドソームやファゴソームとリソソームの融合や、キネシン依存的なリソソームの移動に関与することが示されているが、動物個体における生理的役割は未だ不明な点が多い。前年度において我々は、ジーントラップ法により作出したARL8bホモ欠損マウスの表現型解析を行い、ARL8bホモ欠損マウスの胎仔が、脳背側正中線に特徴的な遺伝子発現の異常を示すことを見いだした。脳背側正中線を構成する細胞は、神経管閉鎖前にBMPシグナルによって運命決定される細胞群であるが、ARL8b欠損マウスでは、この細胞群においてBMPシグナルが非常に増強していた。これまでの研究から、BMPで活性化されたBMP受容体はエンドサイトーシス後にリソソームに輸送されて分解されることが示されていることから、ARL8b欠損マウスではエンドサイトーシス後のBMP受容体の分解が低下し、BMPシグナルが持続的に活性化することで、背側正中線の運命決定に異常が生じる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者はこれまでに、ノックアウトマウスを用いてARL8bの解析を進め、形質細胞様樹状細胞(pDC: plasmacytoid dendritic cell)の細胞接着部位における多量のI型インターフェロン産生にARL8bが関与することや、胚発生時においては卵黄嚢内胚葉でのARL8bの欠損が胎仔側へのアミノ酸供給低下を引き起こし、胎仔の発育不全を惹起することを明らかにしてきた。また、前年度の研究により、胚発生時の脳形成にARL8bが重要であることも明らかとなった。ノックアウトマウスを用いたARL8bの機能解析は世界でも他に例を見ず、我々のこれまでの研究成果はARL8bの生理的役割の解明に大きく貢献しうると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、ARL8bの生理的役割の解明などが進んできたが、ARLサブファミリーの多くは、機能や活性制御機構については未解明な点が多い。今後、ARL8bをはじめとするARLサブファミリー分子群に関して、培養細胞やマウスを用いた機能的役割の解析や、我々が開発したHPLCを利用したGタンパク質の活性化状態の測定法も活用して、それらの活性制御機構についても研究を進める。
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Research Products
(5 results)