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2018 Fiscal Year Research-status Report

細菌III型分泌装置ニードルの毒素分泌メカニズムの構造生物学的基盤

Research Project

Project/Area Number 17K07365
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

藤井 高志  大阪大学, 生命機能研究科, 特任准教授(常勤) (10582611)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsクライオ電子顕微鏡法 / III型分泌装置 / 赤痢菌
Outline of Annual Research Achievements

赤痢菌はIII型分泌装置・ニードル複合体により宿主細胞へとエフェクター蛋白質を打ち込み宿主の細胞骨格の再構築を伴う貪食を誘導し、それを利用して宿主 細胞内に侵入・感染する。 ニードル複合体は膜を貫通する基部体と”針”であるニードル繊維、ニードル繊維の先端にあるチップ複合体に分けられる。興味深いことに、輸送ゲートである基部や宿主細胞と直接接触するチップ複合体ではなく、ニードル繊維構成蛋白質MxiHに毒素分泌パターンが異なる変異株が複数存在する。本研究課題では、細菌の毒素分泌メカニズムの構造生物学的基盤の解明を行うために以下の2つのサブ テーマに取り組んでいる。 A.複数の異なる表現型をもつ変異型ニードル繊維の構造を3オングストローム分解能で構造解析し、繊維の原子構造に由来する毒素分泌の仕組みを解明する。B.ニードル先端に存在し宿主細胞を感知し、孔を形成するチップ複合体の高分解能構造解析を行い宿主細胞の感知・開孔機構を解明する。サブテーマAに関しては、変異型ニードル繊維は、サブユニットであるMxiHに点変異が入っており、野生型と比べると、繊維の安定性が低い(保管時にらせん繊維複合体が壊れてしまう)ことが高分解能データ収集へのハードルとなっている。これまでに溶液・pH条件を最適化することで比較的に安定な条件を探索し比較的安定な条件の最適化をおこなってきた。また、3種類の異なる表現型をもつ変異型ニードル繊維それぞれについてデータ収集を開始し、クライオ電子顕微鏡観察のための氷包埋試料作成の 最適化条件を探索・同定した。 サブテーマBに関しては、チップ複合体の精製に関しては、従来法では収率・精製度が著しくなかった。そこで、ニードル複合体の可溶化に使う界面活性剤の検討および、ショ糖密度勾配遠心法を用いたマイルドな方法で精製法の改善を試み、一定の成果をあげつつある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

高分解能のデータ収集には、氷包埋条件の最適化が非常に重要である。クライオ電子顕微鏡法では、水分子とタンパク質のわずかな密度差に由来する密度マップを得るので氷の厚さが薄いことが、S/N比の高い画像取得に重要である。そのため、氷包埋したサンプルを観察しながら、凍結条件(湿度や温度)を詳細に検討する必要があるが、変異型ニードル繊維の不安定性(長期間の保管時に繊維が壊れる)という問題を抱えている。精製したサンプルを長期間溶液で保管できるということは試行回数を増やすという意味で、高分解能データを撮影する上で重要である。保管溶液の組成・pHを見直すことにより、比較的安定な条件を見いだしデータ収集に取り組んでいる。当初予定していたように、変異型ニードル繊維の構造解析(サブテーマA)についてはおおむね順調に進捗している。 チップ複合体の精製に関しては、従来法の収率・精製度および均一性が氷包埋試料作成に対して不十分であった。そこで、ニードル複合体の可溶化に使う界面活性剤の検討および、マイルドな方法で精製法の改善を試み、一定の成果をあげつつあるが、まだ困難な点が複数存在し、その解決を試みて いるところである。サブテーマBに関しては進捗具合はやや遅れていると言える。 テーマ全体としては、おおむね想定したとおりに順調に進捗している。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題においては「変異型ニードル繊維の高分解能構造解析」と「チップ複合体の高分解能構造解析」の2つをサブテーマとして推進している。変異型ニー ドル繊維の構造解析については当初計画したとおり、順調に進捗しているため、引き続き、計画した通りに研究を推進する。具体的には、変異体株からニードル繊維をそれぞれ単離し、クライオ電子顕微鏡でデータ収集を行う。それぞれ得られたデータを画像解析し、3次元構造を得る。チップ複合体の構造解析については、上記したように精製法について、検討課題が複数存在し、これを解決していかなければならない。ニードル複合体を膜から単離するという従来手法のみならず、長いニードルを刈り取る事によりその先端についたチップ複合体を単離精製する方法も試みる。この場合、多くの途中で折れたニードル繊維が混ざってしまうため、チップ複合体タンパク質にアフィニティタグを挿入し、チップ複合体が結合しているニードル繊維だけを選別する方法を試す。また、骨格タンパク質(Membrane Scaffold Proteins:MSP)のベルトによって囲まれる天然に近いリン脂質二重膜構造をとるナノ構造体(ナノディスク)を用いて脂質二重膜と結合したチップ複合体の構造解析も行いたいと考えている。

Causes of Carryover

サブテーマAにおいて、ニードル繊維の不安定性という問題がありそれを解決するために条件検討を重ねていたため、サブテーマBにおいては、チップ複合体の精製 法の改良・確立を目指しているため、両者において、クライオ電子顕微鏡によるデータ収集が終了していない。そのため、大量データ解析のための高性能データ 解析用コンピュータの導入を遅らせることにした。クライオ電子顕微鏡のデータ解析には複数のGPUを搭載したデータ解析用コンピュータを用いるのだが、GPUの性能は一年おきに劇的に向上しており、コンピュータの導入を遅らせることにより、より高速なコンピュータを確保しようと考えている。

  • Research Products

    (1 results)

All 2018

All Book (1 results)

  • [Book] Integrative Structural Biology with Hybrid Methods2018

    • Author(s)
      Fujii T., Namba K.
    • Total Pages
      18
    • Publisher
      Springer
    • ISBN
      978-981-13-2199-3

URL: 

Published: 2019-12-27  

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