2020 Fiscal Year Annual Research Report
Structural basis for the mechanism of bacterial type III secretion system by CryoEM
Project/Area Number |
17K07365
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤井 高志 大阪大学, 生命機能研究科, 特任准教授(常勤) (10582611)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クライオ電子顕微鏡法 / III型分泌装置 / 赤痢菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤痢菌はIII型分泌装置・ニードル複合体により宿主細胞へとエフェクター蛋白質を打ち込み宿主の細胞骨格の再構築を伴う貪食を誘導し、それを利用して宿主細胞内に侵入・感染する。 ニードル複合体は膜を貫通する基部体と”針”であるニードル繊維、ニードル繊維の先端にあるチップ複合体に分けられる。興味深いことに、輸送ゲートである基部や宿主細胞と直接接触するチップ複合体ではなく、ニードル繊維構成蛋白質MxiHに毒素分泌パターンが異なる変異株が複数存在する。本研究課題では、細菌の毒素分泌メカニズムの構造生物学的基盤の解明を行うために以下の2つのサブ テーマに取り組んだ。 A.複数の異なる表現型をもつ変異型ニードル繊維の構造を3オングストローム分解能で構造解析し、繊維の原子構造に由来する毒素分泌の仕組みを解明する。B.ニードル先端に存在し宿主細胞を感知し、孔を形成するチップ複合体の高分解能構造解析を行い宿主細胞の感知・開孔機構を解明する。サブテーマAに関しては、変異型ニードル繊維は、サブユニットであるMxiHに点変異が入っており、野生型と比べると、繊維の安定性がかなり低い(保管時にらせん繊維複合体が壊れてしまう)ことが高分解能データ収集へのハードルとなっていた。これまでに溶液・pH条件を最適化することで比較的に安定な条件を探索し比較的安定な条件の最適化をおこなった。3種類の異なる表現型をもつ変異型ニードル繊維それぞれについてデータ収集を完了し構造解析を行った。 サブテーマBに関しては、チップ複合体の精製に関し ては、従来法では収率・精製度が著しくなかった。そこで、ニードル複合体の可溶化に使う界面活性剤の検討および、ショ糖密度勾配遠心法を用いたマイルドな方法で精製法の改善を試み、収率は低いながらも精製方法を確立した。
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