2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜張力シグナルによる遊走細胞のミオシンII集積
Project/Area Number |
17K07366
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岩楯 好昭 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40298170)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | アメーバ運動 / ミオシン / アクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
誘引物質を感知した遊走細胞が、前端でアクチン重合、後端でアクトミオシン収縮を起こして 誘引物質に向かうことはよく知られている。しかし、細胞が前方で受けた誘引物質のシグナルを 後端に伝達しミオシン II を集積させるメカニズムは現在も未解明である。近年ミオシン II がメカノシグナルに応答して集積することが分かってきた。“力”には物質としての実体がなく、棒の一端に加えられた“力”が他端に伝わるように、遠く離れた箇所にも伝達し得る。本研究では前端でアクチン重合によって生じた“力”が、張力として細胞膜上を後端まで伝わり、ミオシン II を集積させる(走化性メカノシグナル伝達仮説)という、化学シグナルによらない新しい独自の仮説を立て、これを実証する。本研究の成果は基礎生物学的な意義と同時に、人為的な“力”刺激によってがん細胞を集積・攻撃する技術など、将来の医科学応用も期待できる。我々は、細胞性粘菌アメーバが基質の硬さを感知し柔らかい方向に進む Rigidity sensing 機構を発見した。われわれはこの Rigidity sensing メカニズムを使って、細胞はミオシン II を集積するのではないかと考えている。 昨年度、我々は、細胞性粘菌アメーバを柔らかい基質上と硬い基質上に這わせたとき、両基質上での細胞性粘菌アメーバの形状変化が異なることを定性的に確認した。本年度、この形状変化を定量的に評価する方法を検討し、それを実行した。また、GFPと融合させたミオシン II の各種変異タンパク質を細胞性粘菌アメーバに発現させ、力刺激に対する応答を確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の流行のため、学会参加等出張が全くできなかった。対面での学会参加ができず、十分な情報交換ができなかった反面、オンラインのミーティングの技術を身につけることができたことは、今後、新型コロナ感染症の流行が収まった後にも有効だろう。また、本研究に参加していない識者とも、オンラインで研究の助言を得るためのミーティングを行うことができた。 研究内容に関しては計画に沿って進行していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度、新たなGFPミオシン II の各種変異体を発現させた細胞性粘菌アメーバに吸引ピペットで吸引刺激を与えると GFPミオシン II が異なる様式で集積することを観察できた。この計測を更に発展させたい。 学外の識者から研究の助言を頂くことや研究打ち合わせをオンラインによる遠隔会議をもちいて今後、活発に行う予定である。
|
Research Products
(1 results)