2019 Fiscal Year Annual Research Report
Structural dynamics and cooperativity of axonemal dyneins
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17K07376
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| Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
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Principal Investigator |
大岩 和弘 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所, 主管研究員 (10211096)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 鞭毛 / 軸糸ダイニン / 原子間力顕微鏡 / X線繊維回折 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
生命維持にとって重要な生理機能を有する鞭毛・繊毛は、9本の周辺微小管が1対の中心小管を取り囲む「9+2構造・軸糸」を基本構造とする。周辺微小管上に規則的に配列したダイニン腕の運動活性が時間的・空間的に制御されることで、規則的な波打ち運動が作り出される。
本研究では、鞭毛・繊毛の波打ち運動創出のメカニズムを理解するために、分子レベルの空間分解能で生理学的条件下のダイニン腕を実像として可視化できる液中高速原子間力顕微鏡（AFM）技術と溶液条件下で周期構造変化を鋭敏に検出するX線繊維回折技術を用いて、ダイニン間での協調ダイナミクスの観察を目指した。材料はクラミドモナスの鞭毛軸糸とヒト細胞質ダイニンである。
AFM観察では、周辺微小管上にダイニン外腕に特異的な24nm構造周期を確認し、光開裂型ATPによる周期構造変化を測定した。シミュレーションプログラムを作成してダイニンのAFM分子像と結晶構造とを対応させて、ATP添加に伴うダイニンの溶液中での構造変化を実時間に近い分解能で観察することを可能にした。
一方、X線繊維回折では、クラミドモナス鞭毛変異株の鞭毛を用いてCa2+濃度変化に対するらせん対称性の変化を明らかにした。低Ca2+濃度下では、軸糸は高いらせん対称性を示したが、Ca2+濃度を上げると、らせん対称性は低下した。Ca2+濃度変化に対してクラミドモナスとは鏡像関係となる鞭毛波形反応を示すホヤの精子鞭毛では、らせん対称性がクラミドモナスと鏡像関係になっていた。このことから、軸糸全体が持つらせん対称性の変化は、ダイニンと微小管との位置関係を変えることで協働性を調整するメカニズムとして働いている可能性が示された。
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