2017 Fiscal Year Research-status Report
Rab2の細胞内ターゲティング過程の再構成と分子機構解明
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17K07379
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
加納 ふみ 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (10361594)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 再構成 / Rabタンパク質 / セミインタクト細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Rabファミリーはおよそ60種類のタンパク質からなる巨大なsmall GTPaseファミリーの一つであり、主にオルガネラ間を結ぶ細胞内膜輸送過程で分子スイッチとして機能する。各Rabタンパク質はそれぞれ異なるオルガネラや場所に局在化するが、その細胞内局在は自身のタンパク質配列によるものではなく、相互作用するタンパク質によって決定されると考えられている。本研究では、Rabファミリータンパク質の一つRab2のER-Golgi intermediate compartment (ERGIC)ターゲティングアッセイを構築し、その局在化メカニズムを明らかにすることを目的とする。平成29年度は実施計画通り、大腸菌発現系を用いてRab2リコンビナントタンパク質を精製し、レンサ球菌毒素ストレプトリジンO処理により形質膜に穴をあけたセミインタクトHeLa細胞に添加することでERGICターゲティングアッセイを構築した。まずGFP標識Rab2タンパク質(GFP-Rab2)を、キチン結合ドメインタンパク質とインテインの融合タンパク質として大腸菌に発現させ、キチンカラムへ吸着させたのち、インテインの自己切断能を利用してタグから遊離させ精製した。これによりタグのターゲティングへの影響を排除し、かつGFP標識タンパク質であるためその細胞内局在を抗体による染色なしで検出することが可能になった。精製したGFP-Rab2をセミインタクトHeLa細胞へ添加すると、細胞質非存在下でもERGICに局在し、細胞質は局在化を促進するものの必須ではないことがわかった。またGFP-Rab2のERGICターゲティングの時間依存性、GFP-Rab2の濃度依存性を検証し、ターゲティングアッセイとして最適な条件を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は同じRabファミリーに属するRab6タンパク質のゴルジ体局在化アッセイをセミインタクト細胞を用いて構築し論文発表しており(Matsuto et al., BBA, 2015)、今回の研究計画は本論文をベースにしたものである。よって細胞の処理条件、タンパク質・細胞質の精製など基本となる実験については先行の研究のノウハウや方法を利用でき、現段階では研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は実施計画どおりにRab2タンパク質のERGICターゲティングを再構成しアッセイ系を構築することができたため、今後はこのアッセイ系を用いてターゲティング局在化因子の抽出・同定を行う。具体的には、GFP-Rab2あるいはコントロールとしてGFPをセミインタクト細胞内へ導入したのち細胞を可溶化し、抗GFP抗体を用いた免疫沈降を行う。回収したGFPあるいはGFP-Rab2結合タンパク質をSDS-PAGEで分離後Ruby染色し、GFP-Rab2特異的に検出されるバンドを見つけ、質量分析によってタンパク質を同定する。
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Causes of Carryover |
これまでの研究でセミインタクト細胞を用いたタンパク質ターゲティングアッセイ構築のノウハウがあったため、試行錯誤が減り無駄な実験を削減することができ、予想以上に消耗品の使用を減らすことができた。また、実験の結果から大量の血清を使用する細胞質調製の必要がなくなったため、それも消耗品費が少なく済んだ理由の一つである。これらの分は来年度以降のタンパク質同定の質量分析の外注費として、あるいはその他の細胞生物学的、生化学的実験に使用する予定である。
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