2017 Fiscal Year Research-status Report
再構成アプローチから迫る細胞内膜テザリング・膜融合の分子機構
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17K07386
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三間 穣治 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (30335301)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞内膜交通 / 細胞内小胞輸送 / メンブレントラフィック / 膜テザリング / small GTPase / Rab GTPase |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトを含む高等動物をはじめ全ての真核細胞は、時空間的に非常に厳密に制御された細胞内膜交通・小胞輸送(メンブレントラフィック)により、生合成されたタンパク質・脂質などの細胞内物質を、細胞小器官オルガネラ群や細胞質膜、そして細胞外へと正確に運搬・配置・分泌している。このように、細胞内膜交通は正常な細胞機能に必要不可欠な根源的な細胞内インフラであることは自明である。膜テザリングは、膜交通における主要な素反応であるが、輸送小胞と標的膜が(膜ドッキング・膜融合する前に)最初に互いを認識し接触する過程であり、膜交通の場所選択性・特異性を制御・決定するうえで最も重要な過程といえる。本課題は、この細胞内において高度に選択的な「膜テザリング反応」を真に駆動する仕組みを解明することを目指し、膜テザリングに必須の中核因子であるヒトRab GTPaseファミリーを研究対象に、再構成ヒトRabプロテオリポソーム膜動態アッセイ系を駆使した機能解析を展開した。具体的には、全ての細胞小器官オルガネラ群を対象に、それら全てに局在する代表的なヒトRab GTPase群10種類(Rab1, Rab3, Rab4, Rab5, Rab6, Rab7, Rab9, Rab11, Rab27, Rab33)の再構成系を構築した。そして、同種のRab同士による膜テザリング(ホモティピックなRabの組合わせ:Rab5-Rab5など)に加えて、異種のRab同士による膜テザリング(ヘテロティピックなRabの組合わせ:Rab1-Rab9など)も対象とすることで、Rabが駆動する細胞内膜テザリング反応の選択性を網羅的に解析し、さらにその選択性を決定する分子機構に迫った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の主要な目的の一つである、細胞内において高度に選択的な「膜テザリング反応」の仕組みの解明について、必須の中核因子であるヒトRab GTPaseファミリーを対象に、再構成ヒトRabプロテオリポソーム膜動態アッセイ系を駆使した機能解析を開始・推進できた。多様な細胞小器官オルガネラ群に局在する代表的なヒトRab GTPase群10種類(Rab1, Rab3, Rab4, Rab5, Rab6, Rab7, Rab9, Rab11, Rab27, Rab33)の再構成系の構築に成功し、同種のRab同士による膜テザリングおよび異種のRab同士による膜テザリングを対象に、Rabが駆動する細胞内膜テザリング反応の選択性の網羅的な解析を可能とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、全ての細胞小器官オルガネラ群を対象に、それら全てに局在する代表的なヒトRab GTPase群10種類(Rab1, Rab3, Rab4, Rab5, Rab6, Rab7, Rab9, Rab11, Rab27, Rab33)の再構成系の構築を完了し、同種のRab同士による膜テザリングおよび異種のRab同士による膜テザリングを対象に、Rabタンパク質分子そのものが駆動する細胞内膜テザリング反応の選択性の網羅的な解析に着手した。今後、これら構築した再構成プロテオリポソーム実験系と現在までのRab単独の反応系による研究成果を基盤に、生理的な条件下で物理的・機能的に相互作用する分子群(Rabエフェクタータンパク質群など)を含む新たな再構成系の構築を目指し、細胞内膜テザリング反応の真の仕組みにより一層迫ることに挑戦する。
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Research Products
(4 results)